所詮、犬だから

藤田りか子

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犬を犬として見なければいけない、とよく言うものだが何を意味するのだろう?これは時に
「所詮、犬だからね」
という見方になってしまうこともある。例えば先日のゴールデンレトリーバーの事件に関連してそのようにコメントする人も多かった。そこには
「犬なんて、どうせいくら人間に忠誠を尽くしているように見えても、所詮ケモノ。ヒトほど頭がよくないのだから、多くを期待をしてはいけない」
というようなニュアンスにも取られる。

さて、ここに自分なりの意見を記したい。これが正しい、とか、間違いとか、そういう次元で物言いはしないつもりだ。私にとって、犬とは「人と一緒に暮らせるよう上手に適応した動物」である。いくらチンパンジーやゴリラが進化系統的にヒトに近くても、彼らと一緒に一つ屋根の下に住むというのはやっぱり普通の人には不可能である。行動の仕方や、生き方があまりにも違いすぎる。語弊はあるが「大人しくいい子」にしてもらうのが難しい。その点犬は、しつければトイレも覚えるし、適当な運動でも満足してくれる。アニマル・トレーナーのキャリアがなくたって、素人でもそれなりにリードで散歩に連れてゆくこともできる。そう、犬は野生動物に比べるとやはり何かと譲歩してくれやすい。この部分は、やはり「人の側で生きて生存を高めよう」とした歴史の中で培われた。

ただし、犬が内面に持っているもの全てが人社会に100%適応しているわけではない。追いかけたり、探したり、と言う狩猟欲もあるし、防衛をするための番をするという欲もある。人のボディランゲージを読む、とはいうものの、全ての犬がそれを上手に行うわけではないし、特に人の子供のボディランゲージを読むのはとても「下手くそ」だ。勘違いをして咬傷事故がおきているのは、もうご存知の通り。犬を犬として見なければいかない、と我々が感じるのはこのような人にとってネガティブな事件が起きてからなのだが、しかし犬の精神福祉を向上させるためにも「犬を犬として見る」と言う態度は必要だ。

狩猟欲がくすぐられたために、もしかして赤ん坊の頭をつかんだのでは、と言う推測を私は前回の記事でたてた。ならば犬の狩猟欲というのはやはり満たされなければならないものだ、と言うふうにあの事件の後、世の中の愛犬家の方々に理解してもらいたいと思った。そのためには何をすべきなのか。「遊ぶ」と言うのも、犬の狩猟欲を満たしてあげれるアクティビティである。何かを投げれば犬は追いかける。この追いかける、と言う部分が狩猟行動の一つである。投げては取らせるとストレス気味になって困る、と言うのなら、では「探す」と言うこれまた狩猟欲の一部である行動を満たしてあげるのもいいだろう。そして人と異なり「探す」と言うアクティビティは「目で探す」よりも犬では嗅覚を伴うおうとすることを忘れずに!狩猟欲というとどうしても「捕食する」と言うイメージを多くの人が持つようだが、決してそれだけではないのだ。むしろ多くの犬の中で「殺して食べる」と言う部分はかなり退化しているものだ。イエネコが時にネズミを捕まえるものの殺すだけで食べない、と言うことにもやや似ている。

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つい先日東京ビッグサイトで開催されたインターペットという大きなペット博で、「ノーズワーク」というドッグ・アクティビティをスウェーデンから講師のバルブロ・リーデンさんを招いて紹介をした。私はこのアクティビティの大ファン。それに何と言ってもこのスポーツぐらい日本の犬にぴったりなものはないと思う。「ノーズワーク」は嗅覚を使って特定のにおいを探させるスポーツだ。どこでにおいを探させるか、それははっきり言ってどこでもよし。家の中でもいいし、公園でもいい。街のビル壁ににおいを隠して探させることもできる。こんなに手軽に犬の狩猟欲を満たしてあげれるスポーツは他にあるだろうか。広大な敷地もいらない。人の居住空間が十分犬の「猟野」となる。

「犬を犬として見る」ためのスポーツ、ノーズワークをインターペットで紹介しながら、側を通る犬が乗せられたベビーカートの数に正直面食らってしまった(私はスウェーデンのそれもひどい田舎に住んでいるので、カートに犬を乗せて往来を歩く飼い主を見たことがないのだ)。カートに犬を乗せているのは、あくまでも交通手段として、人混みで犬同士がかち合ったりしないように、などという機能のためであったということを願う。どうか人の赤ちゃん代りとしてカートに乗せてなんかいませんように。犬を犬としてみてくださっていますように。何と言っても犬は歩くのが好きな動物。探索が好き。それもまさに狩猟欲から出ている行為なのだ。

最後におまけ。パピー・アクティビティとしてのノーズワークを動画で紹介しよう!我が家に最近やってきたラブラドール・レトリーバーのアシカ。たった9週齢。にもかかわらず、もう嗅覚をしっかり使えるのである。動画の最初では、におい(ノーズワークで使うユーカリのアロマ臭)が隠されている瓶を一つ導入している。これに鼻をつけたらクリッカー。そしてトリーツ。こうしてユーカリのにおいを「トリーツ」と連想させて学習させる。その次に何もにおいの入っていないビンを一緒に見せる。果たしてアシカはユーカリの入ったビンを選ぶだろうか?驚いたことに、数回の試行錯誤でで彼女は正しいビンを選ぼうとするのだ。これぞ「犬を犬として見る」ことができる素晴らしい瞬間だと思う。実はこの時彼女にとって生まれて初めてのノーズワーク練習日。犬ってすごい!

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