犬を取り巻く環境と政治

ガニング亜紀

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( photo by PIX1861 )

アメリカに新政権が発足して約1ヶ月。新大統領とその方針については日本でも連日報道されているので、見聞きされる機会も多いかと思います。様々な事柄が突然変更されることで混乱と抵抗を(中には歓迎も)生んでいますが、犬や動物に関わることでも突然の変更が2月上旬に行われました。

変更されたのは米国農務省のウェブサイトでした。同省のサイトには、犬猫の商業的繁殖施設・動物実験施設・動物園などの動物関連施設の査察結果の報告が掲載されていたのですが、それら何千件ものデータが全て削除されてしまったのです。削除に関しては「慎重な検討の結果、査察報告の公開はプライバシーに関わることなので、これらの情報をウェブサイトから削除した。」と説明されています。今後は情報が必要な場合には、申請を行えば閲覧が可能ということになっています。

当然ながら各動物保護団体やジャーナリストからは大きな抗議の声が上がっています。例えば、過去の記事で紹介した「全米のパピーミル、ワースト100」などは米国動物保護協会が農務省のサイトに掲載されていた犬繁殖業者の査察結果や違反罰則内容を集計してまとめたものでした。情報が削除されてしまうと、こういう集計をして一般の人も見やすい形にして発表することが難しくなります。

各々の動物実験施設で何匹の犬が実験に使われ何匹が命を落としたかと言った集計や、動物虐待の罪で罰則を受けたサーカスや動物園がどこにあるのか、誰もが自由に閲覧できていたこれらの情報も現在は見られなくなってしまいました。査察にもデータベースの管理にも国民の税金が使われているのですから、国民には情報にアクセスする権利があるはずだと言うのに。そして何よりも受け入れがたいことは、業者や企業がコスト削減のために施設の環境整備や動物のケアを怠っても、それが公にならないということです。

選挙期間中から、公約の中に「動物福祉の向上」が含まれていたクリントン候補に対して、現大統領の方は動物に関する言葉は全く見当たらなかったので、こんなことが起こるのも全く意外ではなかったのですが、腹立たしいことに変わりはありません。

政治が動物の人道的な扱いよりも企業や商業団体の利益の方に都合をつけたなら、事はあっという間に悪化していきます。腹を立てているだけ嘆いているだけの時間はありません。各動物保護団体は具体的なアクションを起こす方法として「地元の上下院議員に電話やメールで変更を訴える」「署名活動」「活動している団体への寄付」を呼びかけています。微力ながら私も継続して参加しています。

アメリカで起こっていることを書きましたが、具体的なアクションの起こし方は日本の場合もほぼ同じです。

ちょうど今年は5年ごとの動物愛護法見直し改正の年に当たるので、きっとまた今回もパブリックコメントの募集があるかと思います。

昨年秋には、繁殖業者の施設やペットショップなどで犬や猫を飼育するケージのサイズに具体的な数値規制を設定しようと環境省が検討中という報道がありました。そして規制が設定されることへの業界の反発も既に始まっています。日本の場合はアメリカよりもずっとラッキーなことに、政府の方が聞く耳を持っている状態ですから、前回の8週齢規制失敗のようなことにならないよう多くの声を届けなくてはと考えています。

犬の件ではない他のことについて書かれていた今日見た言葉ですが、犬を取り巻く環境を改善するためにも同じことが言えるなと思ったものです。

「たとえ完全に雑草をゼロにすることはできなくても、雑草を抜くのをやめたら畑はたちまち雑草で埋まってしまう。」

政治には様々な環境をあっと言う間に変えてしまう力があります。けれど国民にもまたその環境を守ったり軌道修正する力はあります。政治家のパワーと違って、集団で協力し合うことが必要なパワーですが、犬を取り巻く環境が雑草で覆い尽くされることがないよう、今日も雑草抜きに精を出したいと思います。 

※追記
上記を書き上げた後に、米国農務省のサイトに削除されていた査察報告のデータが再度アップロードされ始めたと報道がありました。再アップされている情報はまだ今のところは一部ですが、とりあえずは進歩がありました。18名の上院議員、101名の下院議員の署名入りの大統領宛の公開状、署名運動などが功を奏した模様です。

【参考サイト】
United States Department of Agriculture

【関連記事】
「パピーミルを改めて考える」
「実験動物としてのビーグルに新たな犬生を送る権利を!」

 

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