タンパク質と炭水化物の比率のちがいが、犬の腸内細菌叢に与える影響

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[photo by smerikal]

人の身体活動に影響を及ぼしているマイクロバイオーム(常在細菌叢)。近年、マイクロバイオームと健康や病気との関係に関する多くの研究結果が報告されています。特に腸内細菌叢(腸内フローラ)は肥満やメタボリック・シンドローム、循環器疾患、免疫疾患、肝疾患、脳疾患などさまざまな病気との関連性が多く報告されています。

犬も人と同じように肥満個体が増加してきている昨今ですが、犬の腸内細菌叢と肥満の関連性に着目した研究がネスレピュリナペットケア研究所から『mBio』誌に発表されました。この報告では、腸内細菌叢と食餌の内容、肥満との関連性を検討しています。

研究者らは、平均年齢およそ5.7歳のラブラドールとビーグル各32頭ずつ、太り気味の個体と標準または痩せ気味の個体に分類し、実験を行いました。犬たちは、最初の4週間はベースラインとなる同じ食餌(Purina ProPlan Sport Active 26/16 chicken and rice)を与えられました。その後4週間は、半分は高タンパク・低炭水化物の食餌(タンパク質49.4%、炭水化物10.9%)を、半分は低タンパク・高炭水化物の食餌(タンパク質25.5%、炭水化物38.8%)を与えられました。犬たちは食事だけでなく、運動面でも同じような日常の環境下におかれました。

最初の4週間が経ったあとの糞の中の16S rRNA 遺伝子(細菌の系統分類の指標とされている遺伝子)を解析したところ、個体ごとの腸内細菌叢の違いはほとんど見られませんでした。しかし後半の4週間の食餌を与えられた後、犬たちの腸内細菌のバランスは大きな変化を見せたそうです。

低タンパク・高炭水化物の食餌を与えられた犬たちは、バクテロイデス属とクロストリジウム属に属する真性細菌の比率がかなり増えていました。一方、高タンパク・低炭水化物の食餌を与えられた犬たちは、フィルミクテス門に対するバクテロイデス門の細菌が減少していることが示されました。

これらの結果より、食餌に含まれるたんぱく質と炭水化物の比率が、腸内細菌のバランスに直接的な影響を及ぼしていたことが示され、その影響は、標準または痩せ気味の犬よりも、太り気味の犬のほうがより強く見られました。また、ラブラドールとビーグルとの犬種差が見られなかったことから、他の犬種でも調査の必要はあるものの、どのような犬でも同様の結果になることが示唆されるものだと研究者らはいっています。

聞きなれない腸内細菌の名前が出てきましたので少し説明を補足しますと、腸内細菌は体への影響によって3つに分類されています。ひとつがビフィズス菌や乳酸菌など体の健康維持に役立つとされているグループで、善玉菌と呼ばれています。一方、体によくない影響があるとされるグループは悪玉菌と呼ばれ、代表的なものに大腸菌、ブドウ球菌などがあります。3つ目は腸内細菌の多くを占める日和見菌と呼ばれるグループで、健康なときには何もしないでいるけれど、体が弱ると悪さをするというものです。フィルミクテス門、バクテロイデス門いずれの細菌も、この3つ目の日和見菌のグループに属しています。

これまでの人とマウスについての研究から、太っている個体と?せている個体の腸内細菌叢を比べると、太っている個体はフィルミクテス門に属する細菌の割合が多く、痩せている個体はバクテロイデス門に属する細菌が多いいことが分かっています。そのことから、俗に、フィルミクテス門の細菌は"肥満菌"と、バクテロイデス門の細菌は"痩せ菌"ともいわれています。つまり、今回の研究から、高タンパク・低炭水化物の食餌を与えられた犬は、肥満体型の人やマウスの腸内細菌バランスと同じようになる傾向にあり、太っている犬の方がよりその影響を受けやすいということが分かったのです。

肥満はもはや人だけでなく犬の健康問題にもなってきています。研究こそたくさん行われてはいるものの、では何を食べたらベストなのか、それは人においてもなかなか導き出すことができない答えだと思いますし、一般にいいと言われている食べ物でも、健康状態や年齢によって個体ごとに体が受ける影響は異なるでしょう。ですから、食餌だけでなく、運動や毎日の生活の中で、いろいろな面から愛犬の QOL を高めるようにしていけるといいのではないかと思うのです。

(satoko)

【参考サイト】
American Society for Microbiology

 

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