その行動、犬のせいにしていませんか?

五十嵐廣幸

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ノーティードッグ!と飼い主が犬に強く言っている。
ノーティー(Naughty)とは、いうことを聞かない、悪い、いたずらなという意味で使われる。その声は時に「わんぱくだなー」と取れることもあるが、飼い主の犬に対する行動から「ダメな子だ、何故いうことを聞かないんだ!」と受け取れることも多い。

快晴、気温26度、気持ちいい散歩日和、飼い主の女性はマルチーズと一緒に歩いている。マルチーズの口からは舌がのびて、ハッハッと短いストロークで呼吸をしているのが見える。マルチーズが池に近づき、水に入ろうとしたとき「ノーティードッグ!」と飼い主がその犬に強く叫んだ。

このよく見かける光景に、やれやれまたかと私は思った。そしてこっそりその犬に向かって、「暑いもんな、水には入りたいよね。」と声をかける。飼い主はマルチーズに怒り「なんで水にいくの!ノーティー!」を繰り返している。

しかし犬がこの状況で水に入ろうとする行為は本当に「いうことを聞かない、悪い犬」なのだろうか?

私はよく水辺で犬と遊ぶ。オーストラリアの強烈な日差しはイギリス原産のボーダーコリーには暑すぎるからだ。たとえ気温が26度と人間の適温であっても、私の愛犬は丘を全速力で登り、ボールを追いかけ、ディスクを空中でキャッチする。運動をしている犬にとってはすでに「熱い」「暑い」に変わっているはずだ。

このまま運動を続ければ、犬の呼吸は荒く、早くなる。ディスクやボールへの集中力が欠けるはずだ。またボールを持ってくる途中で座り込んで休むだろう。この状態は車でいえばオーバーヒート寸前だといえる。

私はオーバーヒートする前に犬を冷やしてやる。一番手っ取り早い方法は犬を水に入れてしまうことだ。だから夏の散歩に水辺は欠かせないものと思って場所を選んでいる。よほど熱くて参っている時や、疲れている時は水辺に腹や体をつけてそのままじっとしているが、体力があればそのまま川や湖でクールダウンをしながら泳ぎを楽しんでいる。また冬には人が寒いと感じても、運動をしている犬の体は熱くなっていることも多い。寒さ対策で犬にコートを着せる際は、犬の様子をみて途中で「脱がす」必要もあるのは言うまでもない。

先ほどのマルチーズが熱さから逃れるために、水を欲しがる行動は彼ら犬にとっては「生きるために」必要なことで、その行為を「ノーティー!」と怒るのはあまりにも人間の都合すぎると私は思う。もちろん飼い主が犬を汚したくないというのは理解できる。犬は水に濡れるだけでなく、その毛と毛の間には土や砂が入り込むだろう。水草や小枝がつくかもしれない。また車の中や家も汚れるのは容易に想像できる。しかし犬にとっては体が熱すぎてどうしようもない状態なのに、それでもダメと言えるだろうか?

もし愛犬を汚したくない、池の水を飲ませたくないという理由であれば、飼い主は犬に対して十分な水を持ち運ぶべきだろう。犬の呼吸や熱を察知し、木陰で休憩させて水を飲ませ、たっぷりの水をお腹にかけたりして体を冷やしながらケアをしてやることが必要なはずだ。

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散歩をしていると、このような人間目線の「ノーティー」をたくさん見かけることがある。
私が愛犬とディスクやボールで遊んでる時によく他の飼い主の方から相談される。

「うちの犬、家のものを壊すんです。ソファーや靴を齧る悪い犬なんです。リードを外したら、戻ってこないからリードは外せません。」

「他の犬のボールを取ってしまって困るんです。」

「うちの犬はボールで遊ばないし、持ってこないんだ。」

その飼い主の言葉だけを聞けば、「いたずら好き」と取れるものもあるかもしれないが、飼い主が問題としている犬の行動には必ず原因があるはずだ。

「ソファーや靴を齧る犬」「呼んでも戻ってこない犬」という飼い主からよく話を聞けば、「散歩は週に1度あるかないか、2週に1度の時もある、でも犬は自由に家の中を歩いて庭にも行ける。だから運動だって勝手にしてるはず。庭は広いんだし。」そんなことを言っていた。

私は「この犬と毎日、朝は最低1時間半、そして夕方に2時間散歩をしています」と事実を飼い主に伝える。毎日の散歩が犬にとってどれほど重要かを知ってもらいたいからだ。飼い主の多くは「えーーーそんなに??」とか「1日1回じゃないの?」という返事がくる。

犬が家のものを壊したり、ソファーを齧るなどの多くの原因は犬の運動不足やストレスが関係していることが、この場合一番で考えられるだろう。週に1度の散歩で犬がストレスなしで健全に暮らしているとは思えない。それは室内犬、小型犬、中型犬、大型犬どんな犬にも言えることで、犬にはその犬に適した毎日の運動が必要であるからだ。充分な運動を与えてこそ、犬はストレスを溜めずに、家で暇や退屈を感じることなく、ぐっすりと昼寝ができる。そのことをこの飼い主は知るべきなのである。

犬に運動を与えないでいる飼い主が、その犬の問題行動を「犬のせい」にしてしまうというのは、飼い主として褒められたものではない。

「リードを外したら戻ってこない」ということも、運動不足が原因でコマンドが犬に伝わっていない、遊びに夢中すぎて理解できてないことが大きいのではないだろうか?1週間も家に閉じ込められていた犬が「久しぶりに来た公園」に夢中だということを想像すれば、その犬の行動はそうなって当然といえる。しかし飼い主は「呼び戻しが出来ない犬」と人間の一方的な考えで答えを出してしまう。

また仮に充分な運動を与えていても呼び戻しが不完全なのであれば、まずは自宅で呼び戻しの再確認をすること、次は外でロングリードをつけて練習、その後はフェンスのある大きすぎないドッグランなどで練習するのが飼い主の務めだと思うがいかがだろうか?

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充分な運動があるからこそ、犬はちゃんと眠ることができる

さて、どうして犬は飼い主しの指示を聞くのだろうか?

もっと限定しよう、なぜ犬はボールを飼い主の元に運んでくれ、Drop your ball(ボールを落とせ)と指示したら大好きなボールを口からポトリと落としてくれるのだろうか?

犬は人間の言うこと聞く生き物だから、指示したら持ってくるのは当然。
「犬だから」ボールを持ってくるべきだ。

と考えるだろうか?

私の答えは、
犬がその飼い主から必ず喜びをもらえるから。だから犬は遠くからボールを持ってきてくれる。彼らの大切なボールを口から落としても、それに値する価値、喜びが犬にはあるからだと考えている。

また一緒にそのボールで遊んで!
もっと楽しませて!
もう一回ボールを投げてね!私また持ってくるから!

そういう喜びの気持ちや期待が犬にあるから、犬は飼い主の言うことを聞ける。それはボール遊びで限定されるものではない。犬が「飼い主」のコマンド(指示)に従うのは、飼い主がいつも自分を楽しませてくれる。美味しいご飯をくれる。飼い主と一緒にいると嬉しいことがある。そう犬が知っていて飼い主を認めているからだ。だから犬は「飼い主」の指示を聞くことが出来る。その犬の気持ちを飼い主は理解するべきだと思う。

「犬だから」ボールを持ってくるのが当然と考えるのは、いささか人間の傲慢だと私は思っている。犬はボール集めのロボットではない。

では逆に犬にその「喜び」「楽しみ」がなければどうなのか?

「うちの犬はボールで遊ばない」という悩みがこれで、ボールが犬にとって「楽しい」遊び道具だということが伝わってないと言える。

私が犬と遊ぶ時、私は犬の友達であり、兄弟であり、そしてピエロになって一緒に遊ぶ。

私の服が汚れようが、濡れようが気にしない。犬とボールを使って一緒に遊び、犬がボールをキャッチしたことに私自身が喜ぶ、その喜びを犬に伝えてやる。犬が私の元にボールを持ってきたら、それが最高のこと、素晴らしいことだと愛犬を褒めまくる。その光景は人間目線でみたら「どこかおかしい人」に映るかもしれないが、犬は人間の言語を持たない。だからこそ私たち飼い主は犬とのコミュニケーションを行動で示さなければならない。人間用の表現だけでは犬には不十分であるからだ。

「他の犬のボールを取ってしまって困る」「ボールを口から出さない」という飼い主の行動を見ていると、まさにこの逆をやっている場合が多い。

飼い主は、最初は優しく犬に「ボール頂戴」と言っているが、犬がなかなかボールを落とさないでいたり、ボールを咥えたまま逃げ回っていると、自分の指示が通じない犬にうんざりしてしまう。そして飼い主はだんだんと不機嫌になって怒りながら「ボールを落とせ!」と犬を追い回す。そして、やっと犬を捕まえ、首輪を掴み、口からボールを奪い取ると犬に怒りをぶつける「ノーティ!なんで言うことを聞かないの!」

犬にボールを落とすことの喜びを与えなければ、犬はいつまでも自らボールを渡してはくれない。

飼い主の出すコマンドを犬は理解し、反応し、遂行するのは犬のあるべき姿と言える。

しかしそれを「当たり前」にするには、飼い主と犬との訓練や練習、毎日の充分な運動を通して、常に犬に喜びを与えるからこそ成り立っているものと再確認してほしい。

私が飼い主だから、私は人間で君は犬だから、そういう「立場」だけでは犬は人の言うことを聞かない。

私が愛犬と訓練をするとき、私は犬の親になっている。愛犬は小学校3年ぐらいのおてんば娘だと考えて接している。私は彼女を指導し、楽しませ、飽きさせずにマナーを教える。訓練で的確な指示使い、常に喜びと刺激を与える。私という存在を信頼してもらう。それが犬と人間との関係では必要であるはずだ。

私は犬のどんな行動もノーティーだとは思えない。

 

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