マンネリは犬の敵!

藤田りか子

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DA1612_01.jpg 犬の精神バランスを保つためには、規律正しい生活が良しとされている。同じ時間に食事、同じ時間に散歩、同じ時間におやつ。つまり犬がその後の予測を立てやすいようにルーティーンを作れということなのだが、果たしてこれ、トレーニングやしつけを教える時には有効な考え方だろうか?

私のスウェーデン人の友人Mさんは、初めて犬を飼ったのがたった8年前のこと。にもかかわらず時を経ることなく、4年後にはオビディエンスの競技会で何度も優勝したり、つい最近ではノーズワークの競技会でも入賞するなど、瞬く間にドッグ・ハンドラーのエリートへと躍進し始めた。彼女には他に職業があるのだが、ホビーとして現在はパピー教室のインストラクターも行なっている。

どうしてMさん、短い期間でこれほどドッグスポーツをマスターすることができたのか、その才能は羨ましい限りだと思っていた。が、ノーズワークを共にトレーニングする機会を通して、最近その秘密をなんとなく理解することができた。彼女のドッグトレーニングのモットーは

「犬が楽しんでいること!」

だからこそ、彼女はトレーニングのマンネリをとことん嫌う。

「同じルーティン、同じトリック、同じトリーツ、同じ場所の練習。でも、そこには犬の心からの喜びってあるでしょうか?」

とMさん。そこで私は、例えばボーダーコリーのようなワーカホリックだったら、それでも嬉々としてこなすのでは、と言ったら

「え?ロボットのように同じことを何度も何度も繰り返していれば、その犬に『わぁ、面白い!』っていう感情、芽生えていると思う?」

と聞き返された。実はこの発言から、私はすっかり目からウロコの状態になり、しばらく考え込んだ。トレーニングにバリエーションを設けて、とよく言うものだが、改めて犬の「感情」という根本に触れる大切さが身がしみた。なんだかんだと言いながら、私たちは、犬のことをあまりにもロボット的に考えているものだ。「すわれ」と合図を出せば、座るものだと思っている。「まて」と言えば、待つものだと思っている。この合図は犬と人間が社会で共存するために、やはりどうしても覚えて欲しいことでもある。でも、それを受け入れてもらうために、どのように犬に教えていくか。ただ機械的にご褒美を与えればいいって言うものでもない。それを行う時の犬の感情、我々は考えたことがあるだろうか。

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またこれか!さっきもやったじゃん。飽きちゃうよ

例えばノーズワークのトレーニングを行なっている時。毎回、同じ場所で同じような箱を使ってやる。犬は確かにこちらが思う通りのパフォーマンスをこなしてくれると思う。しかし、このドリル化したマンネリをやめて、例えば全く別の環境で、箱ではなくて皿を使ってみるとか、バリエーションを入れてみる。すると犬の心の中では

「あれ、これ見たことがない!」

という一つの刺激が訪れる。適度の刺激であれば、それは人が感じるの同様に犬にとっても心地よいものとなる。私たちが旅行をすることを考えてみればいいだろう。毎回同じ電車で同じ駅に降り立つのはまるで面白くない(それでも私たちはやるのだが)。しかし全く違う場所から違う電車に乗って、違う目的地に着き、自然にあふれた美しい風景を見る。とても心地の良い刺激となるはずだ。Mさんはこの「楽しさ」を犬に与えながらトレーニングするのが、犬を訓練をする我々飼い主、そしてハンドラーの義務だともいう。何しろ私たちは人間の勝手都合で、犬たちに色々とお願いしなければならない身なのだ。ドッグスポーツは犬に刺激を与えるため、でもあるが、その刺激を果たして犬は楽しんでいるのか、まずは感情から考えなければならない。

同時にMさんは、犬の感情をよく読める人でもある。だから、「マンネリ化はいけない」という発想にも至ったのだと思う。私が同じトレーニングを立て続けに行った時に、2回目にしてラッコのパフォーマンスが鈍り始めた。すぐさまMさんは

「ラッコにしてみれば、どうして自分ができるものをまたもう一回繰り返すの?という心情なのよ。だから一回で切り上げることね。来週の競技会が始まるまで、そのルーティン、やる必要なし。彼、できるんだから」

こんな風にすぐに犬を読む。それがわからずに同じことを何度でも繰り返すのが素人というものだ。トレーナーにはテクニックも必要であるが、やはり犬を読める人でなくてはならない。Mさんがたった8年間にしてドッグスポーツのエリートに躍り出たのは、この才能でもあり、犬を楽しませたい、という思いやりに他ならない。だから犬はMさんについてゆく。だからパフォーマンスを嬉々としてこなす。

どうしてマンネリ化がいけないのか、そしてどうやったら心地の良い刺激を与えることができるか、今一度考えてみるのもいいだろう。

【参考サイト】
「犬と一緒にわんダフルDAY!秋」イベントレポート

 

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