犬との距離とリード考

京子アルシャー

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逃げる、走り寄ってきてけたたましく吠える、飛びかかって何かをねだる、ちらりと視線を投げただけであまり関心を示さない、無視...などなど、犬に人間が近づいた時の犬の反応にはいろいろある。

犬にも犬同士あるいは犬と人間との距離に一定のこだわりがあり、ある犬はとにかくひっついているのが好きだし、また別の犬では1mちょいくらい離れているのがいい。人のそばにいることに慣れていない犬だと、もちろんもう少し距離を置くことで落ち着き、人には慣れていてもいろんなことに興味を持っているがために、短いリードで連れられると引っ張って引っ張って仕方がない犬もいる。

短いリードで繋がれて行動制限の不快さを感じるのは犬だけではなく、犬と反対側のリードの末端も同じこと。引っ張る犬を散歩に連れて行くのは長い目で見るとストレスフルである。

ドイツのトルムラー動物行動学研究所で数年前に行われた行動観察調査によると、犬自身が必要とする他との一定距離、つまり「パーソナル・スペース」というものが犬種によって異なることが分かっている。一定のスペース内に、とある犬種では40頭入っても喧嘩を起こさないのに対し、とある犬種ではたった3頭しか入れることができずそれ以上になると喧嘩が絶えない、という現象がみられたのである。

「犬にもそれぞれのパーソナル・スペースがある」ということを考えると、リードを強く引っ張る犬などは、単に自分の思うところへ行きたいがために引っ張るということのみならず、自分で適正な人との距離を取りたいから、ということも理由に上がるのだろう。

シェルターで引っ張りの強い犬に時々実験的に少し長めのリードを使ってみることがある。はたして何が原因で引っ張るのかを見るためだ。長めのリードを使うと、短いリードを使ったときよりも引きが弱くなるあるいは全く引かない、というのはよくあることだ。

人への怖さがないにしても、短いリードで自分が取りたい間合いを極端に制限されると、やはり犬は自分が欲しいと思う間合いを取ろうしてリードを引っ張る結果に。それが欲求不満を抱えている犬なら、なおさらこだわりに妥協できず引きは強い。犬は自分でリードの長さを決めることができず、リードの長さは人が決めるため、必ずしもその「人が決めたリードの長さ」が、連れている犬との適正な距離と一致しているとも限らない。犬がリードを引かない距離、それが犬が選んだ人との距離感である可能性もある。

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かといって長いリードを使えるほど日本の道路事情はよろしくないし、しかし、犬に人が決めた距離で満足しろ、というのもやや無理があるし。そんなわけで、リードを一生懸命引っ張って歩く犬が多いのが現実なのかなとは思う。

この距離感は変えられないのだろうか。人と犬との関係が密になり、犬のエネルギーにガス抜きが行われて、犬がもう少しリードの反対端の動向に興味を持てば、その距離というものは縮まるのかもしれない?いや、それでもなおかつ、犬のパーソナル・スペースは変わらないかもしれない。きっとそれは犬によるのだろう。

さて、私にとってちょうどいい犬との距離はといえば「付かず離れず」。足元にべったりされたりねだられるのは、私自身あまり好きではないだけでなくむしろ苦手な方で、かといって私のことを気にもしないほど離れていてはやはり寂しい。今年別れた愛犬は、この微妙な距離感を15年間分かち合える存在だった。犬は2mほどのリードを引っ張ることがなく、革のリードの適度な重さが、その両端の動きをまさに手に取るように伝えていた。年の瀬が迫り、今年を振り返るたび、その距離感の心地よさが恋しくて仕方ない。

たとえシェルターで毎日多くの犬に会ってはいても、今はまだ、その心地よい距離感にある犬と再び出会えてはいない。近い将来きっとまた巡り会えることを願っているが、あるいはもしかしたら、その距離感はお互いが築いてゆくものなのかもしれないとも思う。私のことだからその距離感へのこだわりはきっと妥協することができず、ずっとその日を待ち続ける気がする。

 

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