何もクリッカーを使わなくとも...?

藤田りか子

コメント(0)

16_11-Clicker04.jpg

クリッカーを使わずとも、褒め言葉とトリーツだけでも犬のトレーニングは十分可能、という面白い結果がイタリアから発表された。

クリッカーのあの独特のカチリと言う音がマーカーになるために、犬は正しい行動をした瞬間を知る。クリッカートレーニングとは古典的条件付けとオペラント的学習のコンビネーションで犬に一定の行動を覚えさせる方法だ。詳しくはdog actuallyの清水さんが一連の記事を発表しているので、こちらで確認をされたい。さてクリッカーとくればシェーピングなのだが、この方法で一連の行動を犬に覚えさせる際、必ずしもクリッカーをつかう必要があるのだろうか、をイタリアの研究者達は調査してその結果を論文として今年9月に発表をした。

クリッカー・トレーニングの良さの一つは、あの日常にはない金属的なカチリ音がマーカーになる点だと多くのクリッカー・トレーナーは主張している。が、その真偽のほどについて、学術的な証明は今までなされていなかった。いや、あの音でなくとも声でいいじゃないか、あるいはご褒美のトリーツだけでも十分じゃないのか...?

それを確かめるべき、研究者達は51匹の犬達(色々な犬種やミックス)を三つのグループに分けて、ブレッドボックス(パンを保存する容器)を開けさせるトレーニングを施した。一つのグループはクリッカーをマーカーに(クリック音の後にトリーツが与えらえる)してシェーピングを受けた。二つ目のグループは声で「ブラボー」をマーカーに(「ブラボー」と言った後にトリーツが与えられる)、そして最後のグループではマーカーを使わずにトリーツのみ。

結論から言うと、この三つのグループ内でトレーニング効果について、大差ないということがわかったのだ!実験に携わった研究者達にとっても、この結果は予想外であったそうだ。

16_11-Clicker02.jpg

となると、クリッカー・トレーニングって意味がないもの?

いや、私はそうは思わない。正しい行動をした瞬間に、どうしても瞬時にトリーツを与えられないトレーニングだってある。例えば遠隔で何かを触らせる時や、高いジャンプをトレーニングしている時など。それにオペラント式学習法を学ぶ(トレーナーや飼い主が学ぶ、という意味だ)際は、やはりクリッカー・トレーニングを入門として手始めに行うと、理解が得られやすいと思う。

才能あるトレーナーの多くは、実はクリッカーという概念なしに、感覚的に正しいタイミングを捉えて、ご褒美を与えたり、罰を出したりして、上手にトレーニングをしているものだ。

となると、クリッカートレーニングというのは、優秀なトレーナーが無意識のうちに行っているトレーニングの方法をいわば、一つの方程式として概念化させたものに等しいだろう。この方程式を知ることによって、その才能を持たない私たちのような一般の飼い主も、学習のメカニズムを理解して犬にトレーニングを与えることができる。犬の飼い主としては駆け出しであった20年前、私はクリッカー・トレーニングの教本を読んで初めてタイミングの重要性を知ったものだ。その後、どうしてもダンベルをくわえたがらない当時の愛犬、レオンベルガーのクマに、シェーピングで回収技を教えることができた。

16_11-Clicker05.jpg

今回の研究結果では、ただし個人的にホッとした点がある。実はノーズワークという嗅覚探知のドッグスポーツに最近夢中なのだが、そのトレーニングにおいて以前ターゲットとなるべきニオイを教える際に、クリッカーを使っていた。つまり正しい「ニオイ」に犬が鼻をつけたら、クリッカーを鳴らしてトリーツを与えていた。

このトレーニングで困ったのは、クリッカーを鳴らすと犬がターゲットから鼻を外してしまうこと。トリーツをもらえることを音とともに期待し、こちらの顔を仰ぎ見るのだ。しかし、嗅覚関係のトレーニングをしている時は、そのまま臭源の位置に鼻を保持して、「におう」というモードをオンにして欲しいのである。ところがクリッカーによって一旦鼻が上がってしまうと、モードが外れ、次の「ニオイ」を探すという気分に入るまで、若干タイムラグが出てしまうことがわかった。

というわけで、その後クリッカーを使うのを止め、褒め言葉とトリーツだけでトレーニングを続けていたのだが、学習効率としてはどうかなぁと思っていた。そんな矢先にこの論文の結果を知ることになったのだ。今後は自信を持って今のトレーニング方法を続けられそうだ!そう、トレーニング方法による効果について、最近学術的な検証がどんどん増え始めている。これは、トレーナーにとってもそして我ら家庭犬飼い主にとっても嬉しい傾向である。

【参考サイト】
Applied Animal Behaviour Science

【関連記事】
クリッカートレーニング #1
クリッカートレーニング #3

 

GREEN DOGがお勧めする商品

フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
累計注文30,000食突破(2016年7月現在)
フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
ワイルドアラスカンサーモンオイル
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
バランスフローラ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
ペット用歯磨きジェル 歯にマヌカ
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
WITH GREEN DOG ミニサイズおやつセット

dog actually ライター書籍 PickUp

「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレーニング法だった! (世界のドッグスペシャリスト)
「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレー… イェシカ・オーベリー (著), 藤田 りか子 (編集, 写真) 誠文堂新光社 (2015/8/20)
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形 藤田 りか子 (著), リネー・ヴィレス (著, その他)
誠文堂新光社 (2015/2/24)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら、犬の語学と社会化を適切に学ばせる (犬の行動シミュレーションガイド) (犬の行動シミュレーション・ガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら… ヴィベケ リーセ (著), 藤田 りか子 (編集), Vibeke Sch. Reese (原著)
誠文堂新光社 (2014/8/20)
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則 尾形 聡子 (編集)
誠文堂新光社 (2014/1/20)
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ カリーナ・ベス・マクドナルド (著), 森 ひとみ (翻訳), 尾形 聡子 (翻訳)
エー・ディー・サマーズ (2014/2/28)
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ()
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (編集)
誠文堂新光社 (2013/12/10)
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック ヴィベケ・リーセ (著)
誠文堂新光社 (2014/7/10)
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド ヴィベケ・S. リーセ (著), 藤田 りか子 (編集, 写真)
誠文堂新光社 (2011/8/19)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く!… ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2013/4/19)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! … ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2012/11/19)

もっと見る