メンタル・トレーニング!レトリーバー風

藤田りか子

コメント(8)

Retriever_2015.jpg

狩猟犬は、狩猟を助け、牧羊犬は羊を集める。その犬種じゃなければ、できない仕事があるものだが、その仕事の全てとはいわなくとも、一部であれば、他の犬種でも十分に楽しむことができる。たとえば、牧羊犬作業のときにつかう、笛による遠隔操作の技。これ、牧羊犬じゃなくとも、右、左にいくという動作ぐらいなら、簡単に学習させることができるし、そもそも家庭犬にとっても、素晴らしいメンタル・アクティビティとなる。アメリカのとある有名なドッグトレーナーは犬に大事なものは「運動!」とよくいうけれど、私は、運動だけでは、犬を満足させれないと思うのだ。

運動といっても種類によるが、犬を心地よく疲れさせる方法は、身体的運動にくわえて、メンタル・アクティビティ。巷では「脳トレーニング(脳トレ)」とも言われているものだ。日本では、犬のストレスというと、マッサージとか、アロマセラピーがまず、最初に治療法として頭に浮かぶのだが、いやいや、メンタル・トレーニングの威力を見過ごしてはいけないよ。ただし、脳トレと平行した形で、マッサージ、アロマを合体させれば、効果は倍増する。そう!犬にバランスのとれた生活をしてもらうには、まずは、犬らしいことをさせてあげること!これを犬好きたるや、決して忘れてはいけない。さらに付け加えるならば、飼い主との協調というスタイルでやるのであれば、なおさら素晴らしい。

さて、レトリーバー・ファンの私としては、レトリーバーじゃなくとも十分に楽しめる、レトリーバー作業に使われる一部のトレーニングを、脳トレとしてみなさんに紹介したい。

用意するのは、においの強いおいしいトリーツ(おやつ)。犬の大きさにもよるが、1cm~3cmぐらいの大きさのものを

【1】犬の慣れ親しんだ環境で。とりあえずは、家の中で。

【2】犬を座らせる。そして犬の後ろ(犬から50cm周辺)にトリーツをばらまく

【3】ハンドラーは犬の目の前に立つ。そしてアイコンタクトが取れたら、「周りをくまなく探して!」合図をだす。この合図は、「よ~く探せ」という声符でもいいし、ホイッスルでもOK。ピッピ~、ピッピ~と鳴らすとレトリーバー作業風。

【4】犬はすでに後ろにトリーツがばらまかれたのを知っているので、すぐに鼻を地につけてトリーツを探し出すだろう。ここが、ミソ。つまり、先ほどの「探して合図」と、自分のまわりに落とされたトリーツを探す、という行為がここで、結びつくことになる。このトレーニングを何回かやっていると、犬は、探して合図を聞いただけで、すぐに鼻を地につけるようになる。

【5】最初はたくさんトリーツをばらまいておくべきだが、犬が合図を理解しはじめたら、少し難しくしてみよう。たとえば、たったひとつだけを犬の後ろにおいて、それを探させる。あくまでもトリーツは犬の周辺におくこと。

このトレーニング法は、スウェーデンでもとても一般的なものだが、個人的には、エルサ・ブロムスターさんというスウェーデンのトレーナーでも、レトリーバートレーニングに専科している方に教わった。

「周りを探せ!」は、レトリーバー作業の中で、ストップ・シグナルとのコンビネーションで行う。つまり、ハンドラーは鳥が落ちた場所をだいたい知っており、犬をそこへ送り出す。そして犬が鳥の落ちた場所近くに来たら、ストップ・シグナルで犬を止めさせる。その後、この「周辺をくまなく探して!」というシグナルを笛で出す。そうして獲物を回収してもらう。だけど、ここではあくまでも一般家庭犬のためのメンタル・アクティビティとして紹介しているので、回収したり、犬を送り出す、という技については、とやかく考えず、まずは先に進まれたい。そしてこの技は、レトリーバーでフィールドトライアル、あるいは狩猟に使おうとしているのであれば、私の住む国、スウェーデンでは、すでに子犬が2ヶ月の時から教えているものだ。もちろん子犬時は、主にトリーツで行う。大事なことは、合図で周りを一心不乱に探す、という行動が学習される、ということだ。

家の中で犬が上手にこなせるようになったら、今度は、外で。実はここからが面白いのだ。外には、茂みや草がある。そこを「よ~く探して!」合図で探させるのは、床の場合のように簡単ではない分、犬も鼻を上手につかって努力をしなければならない。そして、何よりもいいのは、このアクティビティはリードをつけたまま狭い範囲でできること!草の中で探させる時も、順番は、前述した通り。最初は、たくさんのトリーツをばらまいて、合図と自分がすべき行動が結びつけれらるようにしてあげる。

以上がうまくいけば、そして、もしみなさんの犬の中でボールやおもちゃをくわえるのが好きだ、というのなら、トリーツのかわりに物品をいくつか草むらにばらまいてそれをとってきてもらう。

最初は普通の床にトリーツをばらまいて。その後、芝生にばらまいて、少し難しくする。さらに、もう少し草丈の高いところにトリーツをばらまいて、犬が果たして合図と、「探す」という行動を結びつけているか、確認する。物品を取りに行くのが好きな犬であれば、トリーツでトレーニングした後に、物品をいくつかばらまいて、探させるとさらに面白くなる。ここで使ったのは、子犬レトリーバー・トレーニングに使うためのパピーダミー。

ダミーを使う人、あるいは、レトリーバーの競技会を目指している人への、アドバイスは、最初は大きなダミーを使ってもいいけれど、小さなダミーを手作りするか、あるいはテニスボールをつかってこのトレーニングを行うとよし。というのも、物品が小さいので、犬はより念入りに鼻をつかって探さなければならなくなる。そうすることで、大雑把に探す、というのではなく「念入りに探す」という技を覚えてもらうことができる。私はいくつか小さなダミーをつかって行っているが、小さいゆえに、自分で茂みのどこに隠したのか、わからなくなってしまうので、ダミーに番号を振っている。おまけに色違いを用意している。たとえば1から5までのダミーを持っていれば、それを順番に草むらの右から左に投げてゆく。そうすれば犬が回収をした際に、どの番号が、どのへんに残っているかこちらでも大方察しがつくし、もし犬がどうしても見つけられなかったら、自分で探す際に楽でもある。

もちろん、レトリーバーの競技会を目指さなくとも、小さな物品をつかって探させる、というのは、犬がより鼻を使わなければならない、という面で、どの犬にとってもすばらしいメンタル・トレーニングになる。最初は、いくつも、茂みに投げておいて、においを取りやすくしてあげるのがコツだ。そして、最後のひとつまでとらせる必要はない。特にトレーニングの最初であれば、犬もそれほど執着して探す、というモチベーションは少ない。残ったひとつだけ、探すというのは、においがそれほど強くなくなるので、相当な執着心が必要だ。だから、5つ隠したら2つ、3つ見つけられたところで、切り上げる。しかし、トレーニングが進めば、最後のひとつをみつけてくれたところで、おもちゃで多いに遊ぶなど、たくさん褒めてあげよう。

動画に示しているように、犬にリードをつけたまま簡単にできるのが、よし。そして、これが、将来の競技会の技の基礎にすらなるのだ。ぜひ、犬を犬らしく過ごさせてあげるために、このようなメンタル・トレーニングをどんどん取り入れていただきたい。ストレス気味な犬にも、すばらしい効果があるのはいうまでもない。鼻を使わせると犬は頭脳から疲れてくれるからだ。

上記の方法で上手にこなせるようになったら、「探せ」のコマンドと、「周りをよく探せ」のコマンドのコンビネーションでこの遊びを楽しむことができる。この動画では、最初に「探せ」と言って(ハンドシグナルと声)、ラッコを近くの藪に送り出した後、ダミーの近くにきたら、「周りをよく探せ」のホイッスルを出している。さらに応用を利かせる場合は、この藪から30mぐらい離れたところから、直線に送り出すコマンドを与えて、藪にきたところでストップシグナル。そして、周りを探せ、というコマンドを与えてトレーニングもできる。

関連記事
フレンチブルドッグ、レトリーバーになる


 

GREEN DOGがお勧めする商品

フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
累計注文30,000食突破(2016年7月現在)
フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
ワイルドアラスカンサーモンオイル
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
バランスフローラ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
ペット用歯磨きジェル 歯にマヌカ
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
WITH GREEN DOG ミニサイズおやつセット

dog actually ライター書籍 PickUp

「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレーニング法だった! (世界のドッグスペシャリスト)
「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレー… イェシカ・オーベリー (著), 藤田 りか子 (編集, 写真) 誠文堂新光社 (2015/8/20)
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形 藤田 りか子 (著), リネー・ヴィレス (著, その他)
誠文堂新光社 (2015/2/24)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら、犬の語学と社会化を適切に学ばせる (犬の行動シミュレーションガイド) (犬の行動シミュレーション・ガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら… ヴィベケ リーセ (著), 藤田 りか子 (編集), Vibeke Sch. Reese (原著)
誠文堂新光社 (2014/8/20)
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則 尾形 聡子 (編集)
誠文堂新光社 (2014/1/20)
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ カリーナ・ベス・マクドナルド (著), 森 ひとみ (翻訳), 尾形 聡子 (翻訳)
エー・ディー・サマーズ (2014/2/28)
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ()
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (編集)
誠文堂新光社 (2013/12/10)
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック ヴィベケ・リーセ (著)
誠文堂新光社 (2014/7/10)
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド ヴィベケ・S. リーセ (著), 藤田 りか子 (編集, 写真)
誠文堂新光社 (2011/8/19)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く!… ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2013/4/19)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! … ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2012/11/19)

もっと見る