意外な部分のカルチャーギャップ

ガニング亜紀

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(photo by Lifewithzeus )

ちょっと変な話題なのですが、よかったらお付き合いください。

アメリカに住んで犬と暮らしていると、公園やドッグパークが広いことなど恵まれた環境だなと思うことはあるのですが、私にとっては日本でペットと暮らしている皆さんが羨ましく仕方のないことがひとつ有ります。それは何かと言いますと『ペットの火葬』。

日本の友人が愛犬を見送った時の話などを聞くと「焼きあがったお骨に黒くなった部分があって"ここが悪かったんですね"と斎場の人に説明してもらったよ。」とか「拾い上げる時に骨まで愛おしいと思ったんだ。」と言います。ここアメリカでも亡くなったペットを火葬にすることは割合と一般的なのですが、骨はサラサラの砂のようになりますし、遺骨を自らの手で壺に収めるというような習慣もありません。祖父母をはじめとして近しい人を見送る時には「お骨上げ」も儀式の中に含まれるのが当たり前の文化で生まれ育った私としては、うちの犬たちはああいう形で見送ることはできないかもなあと思うと、日本で愛犬のお骨を拾った経験を話してくれる友人たちが単純に羨ましいのです。

アメリカでの火葬の場合は「遺骨」というよりも「遺灰」という形になるのですが、この扱いについては日本との大変な文化の違いに驚いたことがあります。犬ではなくて人間の話、アメリカ人である家人の母が亡くなって荼毘に付した時のことです。日本のように火葬場まで遺族が行くことはなく、葬儀社の人が遺体を引き取っていきました。家人に「遺灰はいつ受け取りに行くの?」と聞いたら「宅配便で送ってくれるよ。」と答えられて「えーーーーーーっ!!!」と心底びっくり仰天したものです。遺灰は2~3日後に一応化粧箱(しかし紙製)に入れられて、普通の宅配便の段ボール箱で届きました。

渡米以来最大とも言えるくらいのカルチャーショックに「日本では遺骨の扱いは亡くなった人の身体と同じでもっともっと丁寧なんだよ。灰ではなくて骨として形が残るように焼いて、それを遺族が専用の箸で陶器の壺に入れて、特別な織物のカバーをかけて持ち帰るんだから。」と言うと、今度は家人の方が「えーーーーーーっ!!!」と目を丸くして驚いていました。「骨になった家族を見るなんて悲しいし、ましてやそれを自分で壺に入れるなんて怖い!」と。

言われてみれば、なるほど確かに怖いかもしれないなあとも思いましたが、なんというカルチャーギャップだろうかと改めて驚いたのでした。

我が家の犬たちも10歳と9歳になり、かつて一緒に遊んだ犬友達の訃報を聞くことも多くなりました。散歩に行った公園などで飼い主さんたちと情報交換をする時にもペットの火葬サービスの話題が出ることもあります。たいていの動物病院では、ペットの亡骸を引き取って火葬サービスの仲介をしてくれます。私も動物病院の待合室にいる時に、亡くなった愛犬を毛布でくるんで火葬の依頼をしに来た飼い主さんを見たことがあります。(その時待合室にいた飼い主さんたちが、私も含めて全員うっすらと涙ぐんでいたことをよく覚えています。)動物病院ではなく、ペット専門の火葬サービスの会社に直接連絡をして亡骸を引き取りに来てもらうこともできます。当然ながらアメリカでも亡骸の扱いは皆とても丁重にして下さいますが、ペットの遺灰は宅配便で届けられることがほとんどです。

他の飼い主さんたちと火葬サービスの話をした折に、日本では火葬場で見送ることも遺骨を迎えることも葬儀の一部なんだと言うと皆がとても驚きます。家人に話した時はややショッキングだったようなので、お骨上げの話は飛ばすことにしているのですが、それでも皆が驚くので、やはりこのギャップは一般的なもののようです。もちろん愛犬の遺灰は皆さん大切に扱われていますし、プロセスの違いに文化の違いを見たという話でどちらが良い悪いということではありません。見送ったペットを愛おしむ気持ちは国が変われど同じです。

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ありがたいことに我が家の犬たちはまだ元気なので、私も先のことを思って憂うということはないのですが、先に書いたように、最後の最後まで見送ることができる日本のやり方を、やっぱり自分にはしっくり来るなあと思います。

葬儀や様々な儀式というのは、旅立った者のためというよりも残された者の心の整理のために行われる部分が大きいと私は思っています。やがては来るであろう心の整理が必要な時、慣れ親しんだ文化に沿って行うことができたらいいのになあという思いと、「その時はその時。自分なりのやり方で心に区切りをつけるしかないさ。」という思いが心の中にあるのです。

折しもお盆も近く「あの子の魂が戻って来るなあ。」と感じていらっしゃる方も多いかと思います。これもまたキリスト教とは大きな宗教観の違いを感じる部分ですね。生まれ育った文化とは違う場所で、犬たちを通して改めて感じる違いやギャップ。普段はあまり考えることのない、こんな意外な部分にもあるんだよというお話でした。

 

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