犬猫の殺処分ゼロに向けて~ピースワンコ・ジャパンと GREEN DOG の取り組み(2)

尾形聡子

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動物愛護週間中の9月23日、東京の赤坂サカスで行われました『犬猫の殺処分ゼロプロジェクト』イベント後半は、このイベントを主催したピースワンコ・ジャパンの大西健丞さん、GREEN DOG の佐久間敏雅さん、そして京子アルシャーさんによるトークセッションが行われました。

-殺処分数は減少傾向にあると伺っていますが、それでもなお殺処分をしなければならない理由はあるのでしょうか?

佐久間さん(以下敬称略): 殺処分される犬や猫がいるということは、単純に、誰かが犬や猫を手放しているということです。それは、犬や猫との出会い方に対する認識が十分でないためではないかと。殺処分をする、しないという以前に、飼い始める段階での心構えが大きく関係していると思います。

大西さん(以下敬称略): ひと言でいいますと、殺処分はゼロにできると思っています。現状は人間の怠慢だと考えます。地方でよくある話ですが、役所にとって一番効率的なのが殺処分という結果になっています。ですので、その辺りも含めてセーフティネットをしっかり構築していければ、今の日本の社会の力ならばゼロにできると。たとえば野良犬でも手間をかけプロのトレーニング技術をもってすれば人に慣れますし、一緒に暮らせるようになります。しかし、役所の人は頭から"野良犬は人に慣れないから飼うことはできない"と思いこんでいたんです。そのような役所の人々が、我々が救った野良犬の変化した姿を見て驚き、意識そのものも変化したという経験があります。論より証拠のいい例ですね。

京子さん(以下敬称略): 犬が手放されてしまう現状を考える必要があると思います。実際に飼い始めると、想像していた以上に苦労があるものなんです。自分で情報を収集して努力して犬との暮らしを楽しくできない限り、一緒に暮らすのを継続していくことはできないと思います。そうできなければ、何かしら問題にぶつかるとすぐにくじけて手放してしまったり、迷子になっても探さない、といった結果に繋がっていってしまうんです。

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-殺処分について、日本とドイツではどのような違いがありますか?

京子: 日本の行政が行っているように、収容期限がきたら殺処分ということはしません。手放されてしまった犬や迷子になった犬などは、ドイツでは民間が運営するティアハイムという動物たちを収容する施設に預けられます。ティアハイムは行政の正式な収容委託先になっています。

-ティアハイムとはなんですか?

京子: ドイツ語で、ティアは動物、ハイムは家のことです。英語でのシェルターですね。ティアハイムはひとつの行政につき必ずひとつあり、大小さまざまですが全国津々浦々に存在しています。そもそもは、捨てられた動物や虐待を受けている動物を助けたいという民間の気持ちから、ティアハイムという施設の運営が始まりました。ティアハイムでは収容された動物が殺処分されることはありませんし、法律で細かく制定されている適正な飼育環境下で生活を送っています。

-ドイツと日本は随分状況が違うようですが、日本はその点で遅れているのでしょうか?

佐久間: 遅れているという言葉が適切かどうかは難しいですが、ドイツと日本では状況が違うのは確かですね。たとえば殺処分についてですと、日本では、多方面からいろいろな形でいろいろな役割を担った人たちが本気で殺処分ゼロを目指さないと達成できないと思います。行政が関わること、保護団体が関わること、そして私たちのようなペット業界にたずさわる人間も然りです。
いのちを預かっている商売をしているんだということを認識し、それぞれの立場でできることを考えてやっていかないとなりません。ドイツのティアハイムを見学しに行ったことがあるのですが、設備などのハード面だけでなく、スタッフの数や日々のケアなどのソフト面もとても充実していると感じました。動物がいかにストレスなく過ごせるかということを十分に配慮していますね。

大西: 私たちは、ドイツのティアハイムにならって、できるだけドイツの法基準に近い形のティアハイム型の施設を広島県に作りました。ベルリンのティアハイムの規模までは行っていませんが、現在どんどん拡張していっているところです。地方は土地がいくらでもありますから、犬を保護するには都会よりもずっと向いていますね。

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-殺処分ゼロにするために、ピースワンコ・ジャパンでは現在どのようなことを行っているのですか?

大西: まず、犬と猫で保護の仕方や、殺処分ゼロへ近づけていくための方程式が違うと考えています。犬は自分たちが直接ゼロへ近づけるための保護施設を作って運営していますが、猫は他の保護団体を支援させていただくという形をとっています。また、縁を増やす機会をつくるために、譲渡するための設備を広島のショッピングモールの中に作り、買い物に来た人にも立ち寄ってもらうことができるようにしました。とはいえもちろん、適性がある方にしかお譲りしていません。最終的にお譲りできるかどうかは、面接とお宅訪問をおこなって判断させていただいています。

-殺処分ゼロを目指すにあたり、ここが変わればもっと進んでいきやすくなるのにと感じることはありますか?

大西: 行政に関してですが、結論からいいますと、保護事業や譲渡事業は不向きだなと思っています。たとえば愛護センターは譲渡も行っていますが、土日が休みなんですよね。平日の9時から5時まで、公共の交通機関では行けないような山の中にあるセンターに、普通の人はなかなか行けません。本気で譲渡する気ならば、人々が休みのときに開けないとならないはずなんです。行政が自らできないことを抱え込んで殺処分の数を増やすくらいならば、予算ごと民間に出してください、ということを交渉しているところです。

佐久間: ひとつ変わればすべてがうまくいくというようなものではありませんが、ペット業界として私たちがすべき大切なこととしては、先ほどもいいました犬との出会いという部分があります。しかし、たとえ出会いがうまくいったとしても、どうにもならない事情により飼えなくなってしまう方がいるのも現状です。そのため、飼い主となった方々のサポートを続けることも、我々ペット業界の大事な役割ではないかと考えています。
たとえば犬と暮らし始めて、しつけがどうしてもうまく行かないことがありますよね。そのような時には、きちんとアドバイスができるプロフェッショナルがいることが大事になってきますが、飼い主さんのサポートをするに足る知識や経験が十分なペットショップは、残念ながら今の日本にはまだ少ないと感じます。ペット業界にたずさわる者として、飼い主の方をトータルでサポートできるよう、業界の態勢を変えていく必要があると思っています。

京子: まず、毎日の犬との暮らしがいかに楽しく面白いものであるかということを飼い主の方が感じることができれば、そんなに楽しいものを簡単に手放すはずはないと思います。犬との楽しみ方を知るには、犬を知る必要があります。犬に関する情報はたくさんありますが、どうやったら犬と楽しく暮らしていけるか、自分の生活の中でどのように活かしていくかを考えアレンジし、柔軟に取り入れていくことが大切です。もうひとつには、社会がいかに犬を受け入れてくれるかということがあります。
要するに、犬に対するしつけということになってくるのですが、あまりにも"しつけが大事"といってしまうと、犬側に無理やり押し付ける感が若干あるのも否めず、危惧してもいます。犬が十分遊ぶことができ、飼い主の方と楽しく生活できるなら、しつけというものは自然と身に付いていくものなんです。飼い主の方が犬と遊ばずに日々しつけばかりしても、犬としては楽しくないですよね。人と犬の関係は、遊びを通じてもっと良くなっていくはずです。そうすれば問題とされる犬の行動も減っていき、結果的に社会が犬をより受け入れていくようになる。そういう方向に進んでいくことを望んでいます。

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-殺処分ゼロへ向けての活動のひとつとして、新しいカタチの店舗をオープンする予定があると聞きましたが、どのような店舗なのですか?

佐久間:12月に湘南にオープンする予定(※12月12日オープン予定)の GREEN DOG の店舗の中に、ピースワンコ・ジャパンさんの譲渡センターを常設する形態です。

大西: これまで、ペットショップ独自で譲渡を行っているところはありましたが、今回のように NPO 法人を入れて半永久的に本格的な形でというのは日本で初めてのことと思います。そもそもは京子アルシャーさんの仲人があってのことなんですよ。

京子: 佐久間さんと大西さんお二人の気持ちをそれぞれお聞きしていて、お互いの方向性が似ているなと思っていましたので、お二人が一緒に何かをするともっといい結果がでるのではないか、広く社会に影響を及ぼすことができるのではないかと感じておりまして。いわば、マッチングの延長ですね(笑)。

佐久間: 大西さんとお会いし、お話をして、私たちがやりたいことが本当に共通しているなと感じたんです。保護した犬に新たな出会いを作ることはとても大切なのですが、実はハードルの高いことでもあるんです。ご一緒させていただくにあたり、我々に何ができるかと考えたとき、常にお客さんがいらしてくださる店舗にピースワンコ・ジャパンさんの譲渡センターをつくることができれば、出会いの確率をおのずと高めることができるだろうと思いまして。

大西: まさに、譲渡という部分が一番難しいところでもあるんです。保護活動は、資金と人材さえあれば保護頭数をどんどん増やしていくことができます。田舎なら土地も安いですしね。しかし、譲渡を単独でやりますと、なかなか人が来てくれません。出会いのチャンスを増やすことが難しいんです。ですので、GREEN DOG さんのような集客力・ブランド力・信用力のあるしっかりしたポジションを持つ企業の力をお借りすれば、譲渡活動にもさらに専念できるようになると考えました。

佐久間: いままでペットショップの店頭では、子犬や子猫が陳列されているのが当たり前とされていました。しかしそうではなく、子犬の代わりに保護犬がいるというショップが、ショップとしてのひとつのあり方として浸透していけばいいのではないかと思うんです。その第一歩が湘南店になります。

大西: 店舗は湘南ですから、もちろん神奈川のセンターに保護されている犬も譲渡していく予定でいます。しかし、広島のように遅れている県では、首都圏に手伝っていただかないと殺処分ゼロにならない現実もあります。ですので、首都圏で譲渡先が見つからず、そのままでいると殺処分されるかもしれない犬を広島の方で引き受け終生過ごせるようにし、広島で保護されている犬の譲渡先を首都圏でも見つけるといった、トレードの関係を築いていければと思っています。

大西: さらにいえば、現在の日本は高齢化社会なので、どうしても飼い主の方が犬よりも先に亡くなってしまうケースもあります。高齢者だけでなく、明日のいのちがどうなるか分からないのは、どの人にも当てはまることですよね。そのために、保険などと組み合わせるなどした信託制度を発達させて、もしもの時には犬が路頭に迷うことなく保護団体に引き取られ、新しい家庭を見つけてもらうといった社会的な仕組みを作っていく必要もあると考えています。犬は社会的権利を主張することができませんから、飼い主の方が生前に信託的な手続きをしておき、犬を守ってあげることが大事ではないかと思うんです。

佐久間: また、殺処分ゼロというのは単に結果でしかありません。一度達成されればいいのではなく、継続していく形を作らないと意味がないと思っています。そのためには保護した犬に新しい家族を見つける仕組みをしっかりと作っていく必要がありますし、さらにはそこに関わる人材の育成、子どもや地域社会への啓蒙活動も非常に大切になってくると考えています。

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-会場にいらしているみなさんへ、ひと言ずつお願いします。

京子: 今日のこのイベントが、日本の犬猫の殺処分の現状を救うきっかけのひとつとなるかもしれません。自分には関係のない話だと思わずに、今日見聞きして感じたことを家族や友だちなどに伝えていただきたいと思います。その上で、私たちの活動に注目し続けていただければ嬉しく思います。

佐久間:殺処分ゼロを実現し、それを持続させていこうと思ったら、京子さんもお話されたように、この場にいらしていない方にいかにして現実を知っていただくかが大事なのではないかと思います。私たちは突拍子もないことをやろうとしているわけではなく、ごくごく当たり前のことをやろうとしているだけなんです。犬や猫が1年間に16万頭も殺されているんだよ、それっておかしいことじゃないの?と。そういう雰囲気を盛り上げていくことが、これからますます必要となってくると思っています。

大西: 殺処分ゼロは通過点なのですが、その通過点すら遠いというのが現状です。今日私は殺処分数ワーストの広島県からきておりますが、1000日で広島の殺処分数をゼロにしたいと思って本気で活動しています。非常に難しい課題ですし、普通の方々からはまず無理だといわれますが、最後まであきらめずに1頭でも減らせるよう努力していきます。今後ともご支援をいただけますと幸いです。

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