犬は犬から学ぶ

京子アルシャー

コメント(1)

090414_Lernen1.jpg

ドイツではよく「2頭目を飼うのは、1頭目がしっかりしつけられてから」という。1頭目のしつけが不十分なのに2頭目を迎えてしまうと、2頭目は1頭目に習ってしまい手に負えなくなってしまうというのだ。

我が家ではある時期には2頭目を迎えたいと思っていたが、1頭目が自由奔放な性格のサイトハウンドということもあって充分に呼び戻しのしつけが入ったであろう時期を見極めるのが難しかった。去勢をして呼び戻しも楽になり充分にしつけの入った1頭目となったのだが、そのときには2頭目を迎えるにはもううちの犬は年を取りすぎていた。なので、時々友人達から犬を預かることで茶を濁し、現在に至っている。

先日とあるびびりな犬を急遽預かった。我が家で預かる2ヶ月ほど前にスペインで保護された推定2歳の元野良犬である。いろんな犬の中でもヒトの手と生活環境に慣れていないびびりな性格の元野良犬は、預かっても1頭だけではケージから出てこようとしないことがある。

散歩にだって出たがらないこともあり、かといってドイツには室内トイレの習慣はないから騙し騙し連れ出して近所を一周するのだが、オシッコどころか周辺の匂いを嗅ぐことだってせずにまた家まで戻ってしまう。その間居候犬のしっぽは股の間に挟まれ、モチベーションのかけらもない。残念ながら、こんな時はどんなにヒトが優しい声をかけ楽しそうに振る舞ってもしっぽは下がったまんま、犬には通じない。

見知らぬ我が家の環境に連れてこられた居候犬の不安はいかほどかと思う。

ところが、大抵の場合こういった犬はうちの犬と一緒に連れ出すと事態が一転するのだ(それゆえに今回の居候犬はうちに預けられることになったのだが)。周辺環境への好奇心よりも恐怖心が勝っている犬に限って実は「1頭目の真似をする2頭目」の傾向は顕著である。

居候犬は意気揚々としっぽをあげ、金魚のフンのようにうちの犬の後ろについて歩く。うちの犬が木の根元などをクンクンすると、居候犬もやってきて同じ場所をクンクン。うちの犬が右に行けば居候犬も右に、うちの犬が左に行けば居候犬も左に、といった具合にうちの犬はびびり犬から慕われることが多い。

散歩の途中で知り合いの犬に出くわすと、居候犬は見知らぬ犬との突然の遭遇に一旦はパニックに陥り一目散で逃げようとしていても、うちの犬と知り合いの犬がクンクン挨拶をしているのを見て徐々に正気を取り戻す。少し時間をかければ、自ら知り合いの犬の後ろにそうっと回り込んで匂いを嗅ごうとする様子まで見られるようになる。

階段の上り下りを怖がる犬も、うちの犬がさっさと上って去って行くのを見て慌てて後ろをついて行き、何度か繰り返すうちに恐怖感を忘れる。

歩道から車道に降りる前に縁石で立ち止まることだって、うちの犬がすれば居候犬が覚えるのも早い。

さらには特定の犬(宿敵)を警戒して吠えるうちの犬に習い、居候犬はつられて吠えるようになる。うちの犬にはそれなりの理由があって吠えるのに、宿敵犬と初対面の居候犬はうちの犬が吠えるから吠える。うちの犬の吠え声を聞き、駆けつけて一緒に標的に向かって吠えるのならまだしも、酷いときにはうちの犬が標的とするものなんか見ないで居候犬は吠え、良い行動も悪い行動も、2頭目は1頭目を見て習う。

これら一連のびびり犬の行動を見ていると、犬は犬、ヒトはやはりヒトであって、ヒトが犬に教えられることなんて本当に限られているのだと思い知らされる。しかし、それを嘆いているわけではない。むしろ犬が犬から学ぶことを、居候犬にはうちの犬を手本に我が家と社会のルールをいろいろ覚えてもらういいチャンスとして利用するのである。

我が家の生活にはリズムがあり、部屋の中で運動会をしないこと、入ってはいけない部屋があること、部屋の中では排泄しないこと、呼んだら来ること、掃除機という轟音を出す機械が部屋の中を動いていてもcoolでいること、ヒトがジャケットを着る音がしたら散歩の時間であること、そして家の中で静かにしているのはつまらないけど外に出たら楽しいことが待っていること、などなど。

トイレのルール以外はみんなうちの犬が居候犬に示してくれる。私はといえばとにかく居候犬を褒め倒せばいいだけで、褒めつつ居候犬との距離を縮めてゆき、この先新しい家族との縁組みを考えると、とびきりのおやつを使ってでもヒトの手は決して悪いものではないことを印象づけなければならないのが課題である。

今回の居候犬は野良犬の中でもかなり弱気な負け犬だったのだろう、大部屋で保護されていたせいでエサにありつけず、我が家に来たときにはまさに骨と皮だけだった。毎日好きなだけ食べさせ、何度も森へ行ってロングリードをつけて運動させ、居候犬に少しずつ肉が付いてきた。森の中でも居候犬はうちの犬の後を追って歩き、体の回復と共に少しずつ犬社会の中で自信を付けて行ったその様子が居候犬の表情から見てとれた。

居候犬が我が家に来て10日ほど経ち、居候犬は里親希望の家庭の元へトライアルに出た。そしてそのままその家族の一員となり、我が家には居候犬のいない静かな生活がまた戻ってきた。

うちの犬は少々疲れた表情を見せてはいたけれど、たまになら居候犬による刺激もボケ予防になっていいだろう。

 

GREEN DOGがお勧めする商品

フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
累計注文30,000食突破(2016年7月現在)
フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
ワイルドアラスカンサーモンオイル
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
バランスフローラ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
ペット用歯磨きジェル 歯にマヌカ
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
WITH GREEN DOG ミニサイズおやつセット

dog actually ライター書籍 PickUp

「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレーニング法だった! (世界のドッグスペシャリスト)
「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレー… イェシカ・オーベリー (著), 藤田 りか子 (編集, 写真) 誠文堂新光社 (2015/8/20)
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形 藤田 りか子 (著), リネー・ヴィレス (著, その他)
誠文堂新光社 (2015/2/24)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら、犬の語学と社会化を適切に学ばせる (犬の行動シミュレーションガイド) (犬の行動シミュレーション・ガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら… ヴィベケ リーセ (著), 藤田 りか子 (編集), Vibeke Sch. Reese (原著)
誠文堂新光社 (2014/8/20)
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則 尾形 聡子 (編集)
誠文堂新光社 (2014/1/20)
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ カリーナ・ベス・マクドナルド (著), 森 ひとみ (翻訳), 尾形 聡子 (翻訳)
エー・ディー・サマーズ (2014/2/28)
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ()
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (編集)
誠文堂新光社 (2013/12/10)
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック ヴィベケ・リーセ (著)
誠文堂新光社 (2014/7/10)
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド ヴィベケ・S. リーセ (著), 藤田 りか子 (編集, 写真)
誠文堂新光社 (2011/8/19)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く!… ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2013/4/19)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! … ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2012/11/19)

もっと見る