里帰りは楽しいケネル・ミーティング

藤田りか子

コメント(0)

4E7U0096.jpg

スウェーデンのブリーダーは、子犬を引き取ってくれた飼い主といつまでもコンタクトを取り続け、そして子犬の成長過程をきちんと把握している、ということを以前「ブリーダーと共に犬種を育てる」と題したブログで紹介した。今回はその第2弾。ケネル・ミーティングについてだ。これは、スウェーデンではとてもポピュラーなイベント。日本でも普及してくれればいいと思っているアクティビティだ。

ブリーダーは1年あるいは2年に一度ぐらいの割合で、自分の犬舎から犬を買ってくれた飼い主とその犬達を集めてミーティングを開催する。日本でいうと愛好家のオフ会のようなもので、皆で集まってアクティビティを楽しむ。もちろん夜ともなれば、楽しい宴会となる。「ブリーダーと共に犬種を育てる」のブログでも述べたように、こうして集まるのは、ブリーダーにとっては自分の子犬がどんな風に成長をしたか確認ができるよい機会となる。ブリーダーのみならず、飼い主も、ブリーダーやそして他の飼い主と関わることでより知識を増やしたり、あるいは啓発される。さらに犬種を持つ、ということの責任感にも目覚める。犬種への責任感とは、犬種として将来健全に存続させるための責任感であり、通常の「飼い主の愛犬への責任感」とは、さらに一歩ステップアップした次元のものでもある。

私がカーリーコーテッドレトリーバーのラッコと参加したのは、彼を生み出したレーナさんの犬舎のミーティング。遠くは隣国デンマーク、そしてノルウェーからも飼い主たちなど総勢14人と20匹が参加。みんなが一気に里帰り!泊まりがけなので、コテージまで用意をしてくれた。ただし、この機会にケネルクラブ公認のドッグスポーツタイトルなんかも飼い主(その犬なのだが)に取らせてあげられるよう、審査員を招聘することもあるから、ミーティングは一種の公式試合をする場ともなっている。ブリーダーとしても、少しでも多くの犬にタイトルを持たせたいのだ。

今回、レーナさんはブラッドトラッキング(血痕追跡、手負いにした獲物の居場所を足跡と血痕をたどって突き止める技能)の審査員を招き(ケネルクラブの公式タイトルが取れるようライセンスを持っている審査員だ)、これに数頭の犬たちが参加。その間、我々若犬軍団はレトリービングの練習を皆で行った。カーリーはここ最近「外見だけがきれいな単なるショードッグ犬種に成り下がりつつある」というのは、レーナさんのような老舗のカーリー・ブリーダー、及び真面目に犬種を愛するカーリーファンが危惧していることである。だから、カーリーの本来の機能をなんとか持ち上げようと、こうして犬を飼ってくれた人にレトリーブの練習機会を設けて、啓蒙をする。将来フィールド競技会に出場する人が増えて、タイトルを獲得する犬がもっとでてくれば!

4E7U0078.jpg

ダミーをくわえたものの、途中で落として飼い主の方をじっと見つめる初心者犬。こんな時はどう対処すべきか、を経験のある他の飼い主たちからアドバイスを受けることができる。皆、カーリーの一癖、二癖に慣れた人達だから、このような難しい状況に対処できるよう、たくさんの知恵とコツを持っている!

実際に、中にはほとんどレトリーブを練習したこともない若犬の飼い主もいた。そのような人はこのようなイベントによって、「あ、私もみんなのように頑張らなきゃ!」と発破をかけられる。教える方も、初心者だからといって決して馬鹿にしたような態度は取らない。何しろ我々は、カーリーの狩猟技能をもっと普及させたいのだから、飼い主を馬鹿にして意欲をくじいてどうする?ある程度練習を積んでいる犬でも、各個体、技能に弱いところを持っている。たとえば、ダミーをすぐに取らない、探せない、ハンドラーに渡すことができない、など。それを我々はお互いに助け合いながら、助言しながら、訓練を進めた。

自分なりに愛犬と一対一で訓練する必要はもちろんあるが、やはりこうして友人たちと一緒にやると学ぶことが多い。どこまで自分の犬のトレーニングが進んでいるか、愛犬の苦手なのは何か、他人にできず自分の犬が得意にしていることって?等がいろいろわかり、独りよがりにならずに済む。そして同じケネルの犬たちだから、「私の犬だけではなく、この部分が概してこの兄弟ではあまりよくない/上手だ」という面白い比較もできる。ラッコの兄弟たちは皆仕事欲旺盛で、勢いがいずれもいいということが今回分かった(そして兄弟皆すぐにマウントしたがる、ということもよく分かった。トホホ)。ケネルミーティングのもう一つの楽しい面でもある。

utsällning.jpg

ラッコを含めた同胎の兄弟犬3匹が、一堂にパピークラスにエントリー。ブリーダーはこうして、兄弟犬がどんな風に成長してきたのか、確かめることができるのだ。

さらに面白いのは、このミーティングは、翌日に近くで行われるインターナショナルのドッグショーとドッキングさせていたことだ。ミーティングの参加者のほとんどがショーに出陳した。そしてミーティングの間、皆がショーに挑めるよう、トリミング講習会も行った。この時こそ、私のようなトリミング鋏をまったく使えない飼い主は、他の人から助けてもらえる。

ケネル・ミーティングをショーとの組み合わせで行うことのメリットは、自分の犬舎の犬たちが一気に集まり、そして審査を観戦できるという点だ。スウェーデンでは審査員からの批評が紙に書かれて渡されるのだが、ブリーダーはこれを読むのがとても楽しみ!私のエントリーが終わると、レーナさんはすかさず「批評を見せてね!」と念を押してきた。ここでは体躯について、歩様についてなど、客観的な意見を貰うことができるのだ。ちなみに、私の犬ラッコはパピークラスで3頭のうちの3位、びりっけつであったのだが、いやはや久しぶりのショーエントリーはとても楽しく、たとえ負けても「もっと出たい」と思えるのだ。それもこれも、ケネル・ミーティングの中で培った、みんなとの一体化、つまり、犬種を保ちたい、みんなと一緒にいい犬を作りたい、という意欲によるのだろう(繁殖に参加させるのであれば、ショーである程度タイトルをとっている方が好ましい)。そしてショーのリングの外での、カーリーファンとの楽しいひととき。この社交の部分を失くして、ショーの楽しさはない。以前のブログにも書いたが、こうして同じ犬種ファン同士と集うたびに、どんどん我々愛好家はこの世界に溺れていくのである。

犬種に根ざした機能を活かせるスポーツあり、そしてショーあり!ケネル・ミーティングはおままごとをする場ではない。我々愛好家の、その犬種への真面目な思いがたくさん含まれていると~っても真面目なイベントなのだ。

 

GREEN DOGがお勧めする商品

フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
累計注文30,000食突破(2016年7月現在)
フード選びに迷ったら。厳選お試しセット
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
EPA・DHA豊富!皮膚被毛の健康をサポート
ワイルドアラスカンサーモンオイル
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
獣医師も注目する「お腹の強力サポーター」
バランスフローラ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
諦めないで!歯磨き嫌いさんにはコレ
ペット用歯磨きジェル 歯にマヌカ
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
食べきりサイズのおやつが5種類試せる!
WITH GREEN DOG ミニサイズおやつセット

dog actually ライター書籍 PickUp

「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレーニング法だった! (世界のドッグスペシャリスト)
「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレー… イェシカ・オーベリー (著), 藤田 りか子 (編集, 写真) 誠文堂新光社 (2015/8/20)
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形
最新 世界の犬種大図鑑: 原産国に受け継がれた420犬種の姿形 藤田 りか子 (著), リネー・ヴィレス (著, その他)
誠文堂新光社 (2015/2/24)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら、犬の語学と社会化を適切に学ばせる (犬の行動シミュレーションガイド) (犬の行動シミュレーション・ガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック: 子犬の気質を読みながら… ヴィベケ リーセ (著), 藤田 りか子 (編集), Vibeke Sch. Reese (原著)
誠文堂新光社 (2014/8/20)
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則
よくわかる 犬の遺伝学: 健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則 尾形 聡子 (編集)
誠文堂新光社 (2014/1/20)
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ
今日からチャレンジ! 楽しいローフードのすすめ カリーナ・ベス・マクドナルド (著), 森 ひとみ (翻訳), 尾形 聡子 (翻訳)
エー・ディー・サマーズ (2014/2/28)
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ()
DVDBOOK 犬はしぐさで会話する(1): ヴィベケ・リーセの犬のボディランゲージ解説 ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (編集)
誠文堂新光社 (2013/12/10)
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック
いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック ヴィベケ・リーセ (著)
誠文堂新光社 (2014/7/10)
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド
ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド ヴィベケ・S. リーセ (著), 藤田 りか子 (編集, 写真)
誠文堂新光社 (2011/8/19)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く!… ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2013/4/19)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! (犬の行動シミュレーションガイド)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック: 「深読み・先読み」の第2弾、問題行動はこれで直せる! … ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
誠文堂新光社 (2012/11/19)

もっと見る