2012年2月23日 しつけ・トレーニング,社会・環境
ジャックラッセルテリア飼育奮闘記 (26) 犬を飼うハードル
写真は冬期で閉鎖された雪の金精峠を散歩するジャックラッセルテリアのマイロとジャンです。僕は週末、こんな風に犬を放して一緒に遊べるところへ出かける様にしています。もちろん普段から雪が降っても、霜が降りても、毎日朝晩の散歩は欠かしません。きちんと社会化された犬にとって、散歩はただ楽しいだけでなく、とても重要な事だと考えているからです。ちなみに僕は昨年春の震災以降、公共交通機関に頼らず自転車で通勤することにしました。公共交通機関がいざと言う時には頼りにならないものだと痛感したからです。そのため毎日目黒・登戸間往復30km強をMTBで往復して帰宅すると、たいてい日が暮れていますが、とりあえず自分の事は後回しにして、犬の散歩に出ます。それが犬を飼う者の使命だと考えているからです。
でもそんな風に毎日犬と散歩をしてきた御蔭で、長い距離を歩くことも、毎日の自転車通勤も、それほど苦にはなりません。これは毎日犬と散歩する事で、暑くても寒くても、自分の脚で長時間歩き続ける事に慣れていた御蔭だと思います。震災の時出先から20km歩いて帰宅した時も、夏、台風で電車が止まり品川から目黒まで歩いた時も「マイロとジャンがいればよかったのに」と場違いな事を考えてながら普通に歩いて帰宅できました。
そんな風に飼い主が犬と毎日散歩に行く行為は、本来犬を飼う上で必須の事だと思います。それが猟犬であれば、実猟に使わないまでも、写真のマイロたちが鹿の臭跡を追っているように、山野で獲物の跡を追わせ猟のまねごとくらいはするべきでしょう。
ところがペットの量販店で交わされるセールストークの中には、時々とんでもない内容が含まれています。
実はそうした行為は、犬を売りやすくするために、犬の飼養のハードルを下げようとする、ある意味、犬を売る立場の人間なら絶対やってはいけない行為なのです。
以下は実際にあった話です。
僕と家族は、マイロというジャックラッセルテリアを一年間、試行錯誤しながら、毎日散歩させ、訓練して、なんとか家庭犬として通用するレベルに育ててきました。その後、二人の子供が一匹ずつ犬を欲しがった事に加え、今までの経験から、やはり犬は二匹以上で飼うべきだと考え、二匹目もジャックラッセルテリアを迎え入れようと考えました。なぜならジャックラッセルテリアは単なる遊びですら喧嘩のように激しく、他の犬種に毎日その相手をさせるのは無理があるだろうと考えたからです。
候補はすぐに見つかりました。家の近所のペットの量販店の店頭で、売れ残り犬としてラフコートのジャックの子犬が安売りされていたのです。彼はギャンギャンけたたましく啼き続けるマルチーズと一緒に、多頭飼い用のケージで飼われていました。マイロとケージ越しに挨拶を交わし、お互いに気に入った様子でしたし、同居犬が吠えても、むやみに吠えない点にも好感が持てました。がりがりに痩せているのと、コートがまばらなのは気になりましたが、それは良い餌を与えて、きちんと飼えば解消するだろうと思いました。
その子犬を買おうと決めた時、店長から言われた言葉は以下のようなものでした。
「この子は、ずっとケージ暮らしだったので、あまりお散歩には出さなくても大丈夫です。そうですね、週に2~3回、一日30分くらい散歩すれば十分だと思います」
僕は意外に思い、思わず聞き返してしまいました。
「あの、この犬はジャックラッセルテリアですよね」
「はい、JKCの血統書もお付けしますよ。今ジャックラッセルテリアは大人気で、結構良いお値段するんですが、この子は4カ月を過ぎてしまったのでお安く提供しているんです。ロングコートなので、ちょっとジャックっぽくないですが、とてもお買い得ですよ」
僕は横でおとなしく座っていたマイロを指差して言いました。
「実は今飼っているこの犬も、お宅の他の店舗で買ったのですが、毎日10kmくらい散歩して、千本ノックなみのレトリーブ訓練をしないと、室内でおとなしくできないのですが」
「それは・・・運動させすぎなのでは」
「失礼ですが、ジャックラッセルテリアってどんな犬かご存じですよね?」
「ええと、映画のマスクで有名になった犬ですね。あとこの頃はシャープのコマーシャルにもよくでてますよ」
おいおい、映画とコマーシャルでしかジャックラッセルテリアを知らないのか?
僕は思わず、心の中で突っ込んでしまいました。
「それ以外は?」
「たしか、犬の名前は作出者のジャックさんにちなんでつけられたんですよね」
「このお店では、よくジャックラッセルテリアを売っていますよね?」
「ええ、ビーグルより小さくで、白くてかわいいブチがあるので、今、人気急上昇中の犬ですよ」
だめだ、こりゃ・・・
僕は、それ以上、この店長との会話をするのを諦めました。この店長にとって、ジャックラッセルテリアの子犬は、外観が可愛くて、映画やCMで有名になったことで、良く売れる犬、と言う認識しかなさそうだったのです。もっと酷かったのは、売買契約書にサインが終わってから、子犬の病歴の説明があったことです。
「言い忘れてましたが、実はこの子はお店に来た直後に疥癬を発症してしまい、ずっとうちの付属病院で同じ病気の犬たちと一緒に治療を受けていました。今は完治しているので大丈夫です」
これが、サインが終わって、家内が子犬を抱き上げた瞬間に聞かされたセリフでした。子犬は家内の膝の上から、僕に訴えるような視線を送っていました。その目は「早くこんなところから連れ出してください」そう言っているように思えました。
結局僕は、お金を出して買ったのに、まるでこの子犬を救助したような気分で帰宅する事になりました。 その時買った犬が二匹目のジャックラッセルテリア、写真のジャンです。ちなみに彼はマイロ以上に元気でタフな犬でした。駒沢のドッグランまで自転車について自走し、ドッグランで遊び倒し、また自走で帰宅するような犬でした。コートが厚いせいか雪の中でも元気いっぱいでした。こんな犬を週二回の散歩だけでケージに閉じ込めておくなんて拷問に等しい行為だと思います。
商業主義に則って犬を売ろうとする商売人にとって、犬の評価は売れるか売れないか?もっと言ってしまえば、高く売れるかどうか?という評価しかないように思えます。
子犬の病歴を最後まで告げなかった事も問題ですが、一番の問題は、毎日最低2~3時間は散歩と訓練と運動に費やすべき犬種に対し、一週間に2~3回程度の30分の散歩で良いと、この犬種を飼う上でのハードルを安易に下げようとした態度だと思います。
ジャックラッセルテリアは確かにカワイイ外観の小型犬です。特にオーストラリアで改良されつつあるプディングタイプと呼ばれる短足な犬は、性格もイギリス本国産より多少はマイルドだと言われます。
しかし実際に二匹のジャックラッセルテリアを飼ってみた実感としては、どんな大型犬でも恐れずに向かって行く勇敢を通り越して無鉄砲な犬、野生の小動物を見れば追いかけて咬み殺さずにはいられないテリアそのものの犬、そして社会化不足で訓練未了なら、よその犬だけでなく、人間にさえ平然を咬みつき、大怪我を負わせかねない犬と言うのが僕の正直な感想です。
ジャックラッセルテリアを飼うのであれば、イギリスのキツネ狩りという、動物愛護団体から非難されている年中行事の事から勉強し、この犬種がキツネ狩りのために、どのような目的で育種され、作出者のジョン・ラッセル牧師自ら「この犬種は実猟のための犬で血統登録犬には向かない」とされた理由も十分理解して飼うべきだと思います。
もう一つ、ジャックラッセルテリアは最低限の服従訓練が必須の犬です。僕のように山の中で放して自由に遊ばせようと思ったら、写真の呼び戻しとリードなしのヒール訓練くらいは確実に入れなくてはなりません。そうしないとリードから放したとたん行方不明になってしまい、救助隊の編成が必要になるような無鉄砲で猟欲が強い犬だからです。さらに街中で飼うのであれば、JKCのBH(同伴犬訓練)相当の訓練も入れるべきだと思います。ある意味、小型犬の中では、もっとも訓練難易度の高い犬であり、初心者にはとてもお勧めできない、ハードルの高い犬なのです。
商業主義に則って犬を売っているだけのペットの量販店の多くは、こうした犬を売る上で不利な情報を未来の飼い主である買い手に十分伝えてくれません。
現状では、飼い主になろうとする人が、これから飼おうと思っている犬種について、元々の育種目的から歴史的背景まで自分で情報収集して、その犬の現状の問題点を良く把握し、その犬を飼う上でのハードル、つまり性格や運動量や訓練難易度等のハードルを、ちゃんと越えることができるか、自分で判断するしかないのです。
それをせずに、安易に犬を選び飼おうとする行為は、犬だけでなく、飼い主家族全員を不幸にする可能性が高い無謀な行為です。そして、それは安易な飼育放棄にも繋がりかねないのです。
このように犬を飼う上でのハードルは、たくさんあり、それは決して低くない事を、これから犬を飼おうとする人は十分認識すべきだと思います。たとえば猟犬を飼うのであれば、写真のジャンのようにいきなり動物の死体や糞尿のなかで転げ回っても平然と対処できるような度量も要求されるのです。
もし、あなたが今、ジャックラッセルテリアを飼いたいと考えているなら、そういう超えなくてはならないハードルがたくさんある犬だと認識される事をお勧めしたいと思います。




























はじめまして。
ブログ、大変興味深く拝見させていただいています。
家にもアメリカンコッカー(♂・去勢済)が一頭います。このコもペットショップから
迎えたコでした。ビビリで社会性がなく(これは飼い主である私の責任です)
人にも犬にも吠えまくりです。小さい頃は人や犬に対してそれほど吠えなかったのですが
その後に妹分に迎えたコ(アメリカンコッカー・♀)がギャンギャン吠えるタイプの
コだったので、真似したのか?吠えるようになりました。
又、基本ビビリの余りに咬む事があり、それは矯正しなければ・・・と
いろいろ試行錯誤しましたが、まだビビリの克服には至っていません。
散歩は毎朝行っていますし、休みの日には長めの散歩もしています。。。が
運動量もきっと足りていないのだろうと思っています。
ブログを読んでこれからもいろいろと勉強させていただきたいと思っています。