ARK訪問記 日独比較編

京子アルシャー

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春を待つ山間の犬猫の里。

大阪能勢電鉄の終着駅妙見口から車で約15分の静かな山間にアニマルレフュージ関西(ARK)のシェルターはあった。

この駅周辺の山は夏は行楽客で賑わうのだろう、しかし訪れた日は寒空と雪が私たちを歓迎してくれた。この度の私たちのわがままなリクエストはARK主催者オリバーさんに快諾いただいた上、多忙にもかかわらず自らの運転で送迎までもしていただいたのには大変恐縮した。

どんどん山へ入って行く車中で、正直言って決してシェルターへのアクセスはよいとはいえないと思ったが、その反面、動物と静かにゆっくりと暮らすには絶好のロケーションである。施設の側には小川が流れ、裏山には背の高い雑木林、自然を充分に堪能できる環境に私の心は躍った。

施設の入り口で車を降り、小さな橋を渡って植え込みに沿い敷地に入って行くと、すぐに所狭しと犬舎が立ち並んでいた。犬達が檻の中からオリバーさんを目で追い、しかし、興奮して吠える様子がまるでない。これまでドイツを中心に周辺諸国行く先々でいろんなシェルターを訪れてきた私にとって、この犬達の落ち着き様は不思議なほどの印象を与えてくれた。

というのも、シェルターに保護されている犬達は人恋しさや暇をもてあました状況などのストレスから往々にして訪問者達に敏感に反応し、酷いところになると犬達の吠え声が反響しすぎてその場で会話なんてとても出来たものではないというのがこれまでの傾向で明らかであったからだ。

裏を返せば、犬が過剰な反応を示さないのは、犬が生活環境において十分な注目と安堵を感じているその現れでもある。訪問客である私たちに興味を示し、金網の際まで寄ってくるものの、警戒吠えをすることなく、どの犬もこちらが差し出した指先をクンクン嗅いで、そして金網越しに舐めた。

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犬舎はいずれも犬が自由に動けるスペースが広くとってあり、そして雨風寒暖をしのげる小屋が備え付けてある。この犬舎、ドイツで犬の保護を行うものにとっては至極当然ともいえる作りだが、日本では必ずしも当たり前ではない。

もしも家の庭に犬舎を作るというのならば誰しもこのような作りを心がけるだろう。しかし、一旦それが保護という状況になると、一頭でも多くの犬を保護したい気持ちからか多くの場合ペットショップのように犬は狭いケージに入れられて積み重ねられる傾向にある。

そのような状況では犬は殺処分を逃れ毎日食餌は与えてもらえるものの、今度は新しい家族候補が現れるまで不自然に狭いケージの中で苦悩を強いられ、果たして本当に保護されているのか虐待されているのか分からなくなる。歴史的に「命」にこだわってきた日本あるいは箱庭文化の日本らしいといえばそうかも知れないが、冷静に犬という生き物のことを考えるとやはり犬が日々置かれている状況への配慮、つまりどのように生きているかを考えなければそれは「生き地獄」にも繋がりかねない。

しかもドイツの「犬の保護に関する条例」のように犬の飼養に対していかなる状況下でも適応されるべき檻の広さや寝床の条件などに対して規制がない日本では、運営の資金繰りが伴わなければ保護への気持ちだけがただ先走りして、犬に十分な生活環境を与える準備ができあがっていないままに保護活動を開始してしまう例が少なくない。

規制がなければ犬の生活環境の保証はとかく二の次にされがちで、そして規制がない状況では犬の生活環境を保証するためにはやはり組織だった運営システムというものを熟考できなければ、長期間にわたる犬の保護活動は出来ないということを、このシェルター訪問で強く感じた。

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犬の頭数に見合った十分なスタッフ数と経費の確保をみると、犬達がここで穏やかに暮らせている理由がよく分かる。

「ここはアクセスが悪いだけに、来てくださる方は皆さんそれなりの思い入れで保護犬達を迎え入れてくださるようです」
と、ARKスタッフの岡本さん。

地形をうまく利用しそれぞれの犬舎が見晴らしよく組まれているこのシェルターから新しい家族を受け入れるにはそれなりのハードルがある。里親希望者には家族メンバーや住宅事情に関する質問はもちろん、現在同居中の動物や過去に暮らした動物への質問、不妊手術・予防接種への意識、ライフスタイルに関する質問など、いわばこれから犬と暮らすにあたり受け入れ側が適した生活条件を満たしているかを確認するのだが、犬のことを考えながら犬を保護するものとしては当然の対応であると私個人が感じた一方で、これらについて「譲渡条件が厳しい」と感じられるような今の日本に、犬の「保護とは何か」についての啓蒙がもっと必要であると感じられた。

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厨房周辺にはARKを巣立っていったみんなの写真がびっしりと。

こうして状況を見るにつけ、このシェルターの運営がドイツやアメリカのシェルター運営と遜色がないのは、やはり代表者であるオリバーさんがイギリス人であるということに大きく寄与していると感じざるを得ない。

保護活動のきっかけについて伺うとオリバーさんは「犬達がかわいそうだった」と答えた。

始まりは誰もが持つ「かわいそう」の気持ちからであったが、その後犬達が幸せに暮らせるような運営を組織的に行い、2008年にはイギリスRSPCA(英国王立動物虐待防止協会)の協会員として認定されたほど、イギリス本国と同じ考え方で運営されてきたこのイギリス式のシェルター運営が日本でも充分以上に可能であるということを、すでにこの団体は20年の歳月をかけて証明している。

現在建設中の「アーク国際動物福祉センター」建設にあたり寄せられる寄付は、その支援対象物ごとに寄付者の名前が銘板に刻印される。名前が刻まれることにより寄付者はまた、その設備・施設に愛着を感じ、そして個人の持つ倫理は形になってゆく。

いよいよ今後の展開が楽しみである。

 

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