犬の家畜化の起源については、多くの研究者の心をつかんでやまないようです。『犬が最初に家畜化された場所はどこ?激しく対立する学説』などでも紹介してきましたが、これまで、DNA 解析によって犬が家畜化された地域を特定しようとし、中東説、東アジア説、アフリカ説など、さまざまな学説が発表されてきています。今回、科学専門誌『PLoS ONE』に発表された論文では、考古学的観点から犬の発祥についての新たな説が述べられています。
研究者らは、シベリアのアルタイ山脈にある洞窟から発掘された犬の頭がい骨を放射性炭素年代測定法を用いて調べたところ、33,000年前の時代を生きていた犬であることが分かりました。33,000年前は氷河期の時代で、氷河期の最も氷床が広がった最終氷期の最寒冷期と呼ばれる2万年前よりもさらに古い時代になります。この頭がい骨は、オオカミと比べて鼻先が短くなっており、またアゴの幅が広く、歯の間隔が狭まっていることから、研究者らはそれが家畜化された動物の証拠であるとしています。
先にベルギーの洞窟で発掘された犬の頭がい骨は、31,700年前のものとされており、これら二つの犬の骨はこれまでに発見されたものとして最も古いものとされています。ですが、現代の犬の原種となっている犬は、ロシアとベルギーいずれでもない血統が最終氷期の最寒冷期を生き延びたものであると研究者らは考えているそうです。しかし、これら2つの洞窟からの犬の頭がい骨が発掘されたことは、犬の家畜化が地理的に離れた複数の場所で起きていること、犬の祖先は複数頭いることを示唆するものだと研究者らはいっています。
また、いわゆる一般的な家畜動物が食料とされるのとは対照的に、最初に家畜化された動物である犬は、厳しい氷河期の最中であっても必ずしも食料源とされていたのでなく、人を保護し、仲間として付き合い、そして狩りを助けていたと考えられるとも話しています。遥か彼方の氷河期の時代から人と犬はお互いに協力しながら生きてきたのだとすると、犬にとって代わる動物は他にはいないだろう、その付き合いの長さに改めて驚かされるものです。
(satoko)
【参考サイト】
・EurekAlert!




























寒い氷河期において太古の人間と犬は、暖めあって寝ていたんじゃないか等々想像すると、
とても微笑ましく感じます。
犬は古いパートナーで、人間にとっては特別な生き物なのですね。