イギリスの動物に関する法律

清水克久

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1986年、ヨーロッパではEuropean Convention for the Protection for the Pet Animalsという 「ペット動物の保護に関する欧州協定」が締結されました。これは包括的なもので、細かくはヨーロッパの国々単位でペットの権利がうたわれています。序文には「人間にはあらゆる生き物を尊重する道徳的義務があり、特にペットは人間と特別な関係にあり、生活の質に重要な貢献をしていること」と謳われています。

Dogs Trustのあるイギリスについて調べてみると、動物に関連する法律は70を超えており、小さいものや大きいものまで様々あります。その中でも、一番最初とされているのが、1822年に成立された「家畜の残酷で不適当な使用を禁止する法律(=俗に言うマーチン法)」で、アイルランド(当時はまだ独立前なので、イギリス国に属する)のリチャード・マーチンという議員が作りました。日本で言うと江戸時代のことです。

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その後、約50年経った1876年には、動物の虐待に関連する「Prevention of Cruelty to Animals Act 1876が成立し、1986年にはより時代に合ったものに改訂となり、現在はAnimals (Scientific Procedures) Act 1986と変名されました。これらは主に実験動物や科学に関連する場所にいる動物の保護が謳われており、それと同時に、サーカスなどで使用される芸のできる動物の展示とトレーニングが登録制となりました。

1911年には現在の動物保護のベースとなっている動物保護法にあたる「Protection of Animals Act 1911」が立法されました。この法律の素晴らしいところは、家畜や実験動物だけではなく、全ての動物に法律の適用を拡大し、動物に不当であり不必要な苦痛を与えるのは全て「犯罪」とみなされ、福祉的にも考慮されている点です。ここで強く謳われているのが「commission(代理権) and omission(怠慢)」であり、例えば狭いケージに入れられ十分な生活スペースがない場合も、痛みがあるのにそれを取り除かなかった場合や、動物の健康管理を怠った場合も全て虐待とみなされ、法律的に罰せられる対象となりました。

1951年にはペット動物保護法である「Pet Animals Act 1951」が立法され、ペットショップを運営するにはライセンスが必要となり、飼育されている場所や明るさ、大きさなどの規定もされました。例えば犬では、1-4匹の場合、居住空間は最低、縦1m x 横1m x 高さ0.9mなければならず、もちろんきちんとした食べ物や飲み物はもちろんのこと、ほ乳類に関しては非常に若い年齢での売買も禁止され、母親と引き離された子犬では、8週齢以上となりました。そしてこの法律で特出しているのは、青空市場など一般的な場所で登録をしていない人が販売してはならないというところです。

1962年には、Veterinary Surgeons Act 1962という厳しく細かい獣医師法も作られ、その後の1966年には早くも改訂されました。ここでは特定の大学で試験を受けることや、ヨーロッパで働く為の登録方法、看護士が許される比較的小さなオペレーションとそれに関する規定、そしてもちろん獣医師の登録などが記されました。これが制定された事により、獣医師のレベルのスタンダード化、そして委員会設置などでの情報の共有など、その後の獣医師の教育にも非常に大きな影響を与えることになりました。

最近ではAnimal Welfare Act 2006 が制定され、日本語に訳すと動物福祉法になります。動物の飼育に関してはもちろんのこと、細かくは断尾や断耳に関しても記載されており、より動物の権利が明確にされ、近年の社会的な動きや意向も含まれています。

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The Royal College of Veterinary Surgeons (RCVS)は、獣医大学でもありながらイギリスの獣医師や獣病院をまとめている機関でもあり、獣医師が尊守すべき法律のVeterinary Surgeon Actはこの組織を中心に作られました。ここでは一般向けにイベントや予防接種キャンペーンなど様々な告知もしており、獣医師だけではなく飼い主たちにも教育活動を行っています。

この様にイギリスでも、RSPCA(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)という王立動物虐待防止協会やDogs Trustなどが委員を務めたりして定期的な会議などが行われ、より良い法律にするように努力しています。

日本も動物愛護に関する法律改定の動きがあり、多くの団体や有識者が集まり会議を重ねています。先進国でも非常に多くの殺処分をしている日本、少しでもその数が減るような法律になってくれれば、無駄になくされる命も、不平等に苦しむ動物も少なくなるでしょう。

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