2010年12月28日 ,,

イヌの家畜化と毛の色の変化

京子アルシャー

281210_Domestizierung1.jpg

世の東西南北を問わず、犬は人類にとって最も古い友と言われる。

世界各地の古代遺跡の中に犬との生活を示すものが出土する度に、ヒトと犬との共同生活がつい昨今始まったものではないことが多く裏付けされる。キリスト教ではノアの方舟に最後に乗せられたのがアフガンハウンドであったという言い伝えや、日本でも日本書紀や風土記に犬が登場するなど、ヒトの文明・文化のそばには常に犬がいた。

では、はたしてヒトとイヌとの暮らしの最初の一歩はどのようなものであったのか?幸か不幸か当時をビジュアルで見ることが出来ないため、私達はありったけの想像力を駆使して推測するしかない。仮にもイヌがオオカミの変化したものであるならば、それはどのような変化であったのか?「家畜化」を特異的な個体の選抜と繁殖と定義する中、多く受け入れられている説にこのようなのがある。

通常の毛色が茶系や野生色である中で突然白い個体が現れると、当時の人々はそれをなにかしらの兆候として受け止め、そして前述の紀記に登場する白い犬や、あるいは現在でも東南アジアなどでの白い象の扱いのように、その白い個体を神聖化・神格化して大事にそばに置いた。

281210_Domestizierung2.jpg

アルビノではない、白い毛のダマジカ

野生動物はその身をカモフラージュするために多くが茶系あるいは黒の混合した野生色の毛色を持つのに対し、これらの野生動物が家畜化する際にみられる外見的変化が「白い毛」だという。

この家畜化による毛色の変化は、20世紀に入りドイツのHemmerによるダマジカ、ロシアのBelyaevによるキツネ、そしてゴールドハムスターの数世代に渡る家畜化実験を通して示されたものであるが、毛色と個体の持つ性質・性格が関係することは、同犬種内で毛の色によって性格の傾向が違ってくることを思い出せば、犬を知っているヒトなら結構感じていることだろう。

野生動物の場合、白い毛の個体は他の野生色の同種よりも性格が穏やかで、ヒトが囲った野生動物の中でも白い個体はそばに置いて手慣付けるのにちょうど良かった。

この白い個体の穏やかな性格は言い換えれば「外部の刺激に対しても野生色よりも鈍感」ということで、そのため囲われた環境内でのストレスを感じづらく繁殖能力にあまり影響がなかった...

281210_Domestizierung3.jpg

家畜化を語る上で動物個体の毛色の変化は脳の大きさの変化に並んで重要な点とされている。現在ではDNAの分析技術が当時の長期にわたる家畜化実験に取って代わり、地球上のどの辺りのオオカミからイヌという家畜が産まれたかすら研究室の机上で示されるようになったが、この研究室での結果からだけでは白い個体が穏やかで鈍感な性格であったかなどまではわからない。

はじまりは闇夜のボディガードでも子供の守でも、あるいは非常食としてでも狩猟のパートナーでもなんでもかまわない。イヌとヒトとがお互いに近づいた理由を一つに絞るのはおそらく無理な話だから、どんな理由がはじめにあれど、種を超えてヒトと細かなコミュニケーションをとれるようになった動物、それがイヌである。もしかすると動物としてはかなり鈍感な「ヒト」と、鈍感な性格の白い個体の歩調とが合ったのかもしれない。

来年もイヌとのロマンに思いを馳せて、よい年でありますように。

京子アルシャー

コメント

コメントを投稿する
  

この記事を引用

犬を感じるブログメディア:dog actually produced by GREEN DOGにモバイルで接続

携帯で閲覧

犬を感じるブログメディア:dog actually produced by GREEN DOGの携帯サイト用QRコード

バーコードを読み取るか、携帯にアドレスを送信してアクセスしてください。