愛犬に「リラックス」を教える

京子アルシャー

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愛犬は楽しく遊んだ後にリラックスがちゃんと出来ている?

秋は犬達にとって動きやすい季節のひとつである。

夏の疲れを癒すように、はたまた暑さで溜まりきったフラストレーションを爆発させるかのように犬達は体を躍動させ、飼い主もまたアウトドアに気が向いたり、どこか遠出をしないまでも近くの河原や自宅でちょっと愛犬と遊んでやろうという気になる、そんな季節である。

しかし遊んでいるうちに犬を楽しませたくてつい要求されるままにボール投げを延々と行ったり、引張りっこして犬の興奮が収まらなくなったり、かといっておもちゃを取り上げると「もっとよこせ」と要求吠えされたり、何度「ヤメ!」といっても止まなかったり、挙句の果てには咬みついてきたり...そんな犬の興奮がちょっと重荷になることはないか?

留まるところを知らないほどハイパーになりがちな犬達の多くは自分自身で興奮を鎮めるコントロールが出来ない状態にある。

かといって、これは決して病的な症状ではない。人間の子供だって遠足の前の日や、楽しい冒険映画を見た後などはなかなか興奮冷めやらず寝付けないことがあるだろう、それに似ている。興奮しやすく、冷めにくい、ただそれだけ。

特に優秀な猟犬種や使役犬種ではこの興奮状態が続くことで猟あるいは使役に対しての情熱が持続すると言うことでもありヨシとされているが、一方で必ず自宅での充分な休息を必要とする。また猟犬種あるいは使役犬種の若い犬では自己コントロールの未熟さもあり、そこに課題不足・使役不足が伴うとオーバーヒートしやすい状態を作り出す。

愛犬が実猟犬や実使役犬などでなく、外で遊んだ後も家の中で興奮しているようであれば、犬の頭はずっと休まることなく興奮状態が続いているということ。かといってそのままでは犬自身にはどうしようもない。この「頭が興奮しっぱなし状態」の苦しみというものをヒトはどこまで理解することが出来るだろうか。

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もしもこれが自分自身のことならば、まずは深呼吸して体をリラックスさせるよう意識を持ってゆくだろう。体の緊張と頭の興奮をほぐすために温かいハーブティーを飲んだりお風呂に入ったり、あるいはテレビを観て気をそらせたり、あの手この手と試すことが出来る。犬はそれが自分では出来ないから、そこで飼い主の手助けが必要になる。

犬を強制的に静かな状態に持ってゆくために毎日数時間ケージに入れるということも方法として時々聞くが、犬の性格によってはただフラストレーションを増すだけのこともある。それよりも興奮状態が激化してきたその場で対処するための「リラックストレーニング」を動物学者でドッグトレーナーそして行動療法士のブラシュケ・ベルトールド博士は奨めている。

この「リラックストレーニング」は犬の条件反射を応用したもので、犬の意識を介さず、不安による興奮・緊張による興奮・過度の興奮状態の対処に効果を発揮してくれるそうだ。

ブルーの毛布には気持ちを安らげる効果があるというラベンダーの香りが薄っすらとつけてあり、毛布をかけてやる事で体は温かく保たれリラックスしやすくなる。ここではたまたま「Easy」という言葉をシグナルに用いているが、例えば「いいね」でもいいし、「ゆっくりね」でもいい。とにかく優しく静かに耳に届く言葉であればいいのだ。これを「受動的なトレーニング」として20-30回繰り返す。

家の中で犬が静かに横たわり、うとうとしているときを見計らって静かにシグナルを送る。シグナルは決まった言葉(コマンド)でもいいし、指や手を使った視覚シグナルでも、嗅覚を使った匂いのシグナルでもいい。体の決まった部分を優しく撫でることだってシグナルになるし、それらを組み合わせてもいい。とにかくトレーニングには同じシグナルを一貫して使うことが大事。

犬が寝ていることは状況としてはなんら特別なものはなく、見た目に別にどうってことないものだと思う。このなんでもない状態をシグナルによって条件付けることから、このトレーニングの成果は「条件付けされたリラックス」と呼ばれ、シグナルによって脳を鎮静する方向に体が反応するというものである。

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犬はなにか芸をしたりコマンドに従って行動したときにはとにかく褒められることが多いが、落ち着いているときには往々にして何も褒められることなどなく、この静かな状態を強化してやるチャンスを飼い主は見落としがちだ。興奮を引き出すのも何かのシグナルによるのであれば、それを鎮めるのもシグナルによって可能であることをこのトレーニングは示してくれる。

遊びを通して興奮を引き出した状態でリラックスシグナル。シグナルは言葉だけではなく、同時に体からも出されているところに注目。犬の体からゆっくりと力が抜けるのが見られたら「受動的なトレーニング」と同じようにリラックスできる雰囲気作りに移る。

このトレーニングが「ヤメ」のコマンドと異なる点は、シグナルにより体の緊張が緩んでゆくところにある。まさにリラックスしてゆくのである。

飼い主の考え方の違いによって、興奮への対処は「いつか治まるまで放っておく」か、それとも「落ち着き方を教える」か異なってくるだろう。犬の行動を何から何までコントロールすることには個人的には共感しかねるが、場合によってはこのトレーニングが持つ「暴走しがちな犬の興奮をある程度抑えつつ、犬に落ち着きを取り戻すきっかけ」としての可能性の高さはやはり捨てがたいとも思う。

少なからず愛犬と一緒にリラックスした雰囲気をゆっくりと過ごすことができるというのもトレーニングに関わらず愛犬との関係において大事なことであり、リラックストレーニングは、そのゆったりとした時間にシグナルを与えるだけの事。トレーニングだと思わずにやってみても意外と効果が現れるかもしれない。

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