ドイツ全土を網羅する動物保護ネットワーク

京子アルシャー

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ドイツには現在多くの動物保護団体が存在する。「多く」って一体どのくらいかというと、例えばドイツ最大手の動物保護団体「ドイツ動物保護連合(Deutscher Tierschutzbund e.V.)」の傘下には718団体(2010年6月現在)が加盟、そのうち521団体は犬猫の保護のためのティアハイム(動物孤児院)を持っている。会員数も80万人を越え、これはドイツ人口の約1%に相当する。

この他「ドイツ動物保護連合」の傘下に入っていない団体も存在し、全てをあわせると約1,000団体くらいではないかと予想される。

「ドイツ動物保護連合」はドイツ国内の活動が主だが、この団体はEU議会と欧州委員会への動物保護コンサルタント団体「Eurogroup for Animals」のリーダーシップ団体であり、さらには国連経済社会理事会のコンサルタントを行う世界最大動物保護団体「World Society for the Protection of Animals (WSPA)」の加盟団体でもある。

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動物保護一大ネットワーク

ドイツ国内の地域にひとつは動物保護団体が存在すると考えてもいいくらいの加盟団体数は「ドイツ動物保護連合」が支部をあちこちにばら撒いて作ったのではなく、その逆。ドイツで動物保護が盛んになった1870年代に存在していた200ほどの団体の相互協力を行うために1881年「ドイツ動物保護連合」が作られた。

親団体を作ることで、その傘下にある団体は運営の方針と活動基準を統一することができ、そして団体毎に得意分野をも分担することができる。親団体の管理下、粗悪な動物保護団体は加盟から外され、またティアハイムを利用する側にとっても各団体の基準とバックグラウンドが同じであることでどの施設も区別なく安心して利用ができる。

ひとつの団体で手に余る事態が発生した場合、ネットワーク内の団体に協力を求めることが可能で、ネットワーク内の団体は多ければ多いほど相互協力の可能性は大きく、そしてそれぞれの負担が軽くなり活動がしやすくなる。動物保護活動において大事なのはなによりもネットワーク、同じ親団体に属することで多くのメリットを受けられるならば小さな団体にとってとてもありがたいことだ。

地元企業へ協力要請

地域で動物を保護したいと思った人たちはまず寄り集まって小さなグループを作り、活動を明らかにするためにグループに名称をつける。動物を救うためにそれぞれができることを持ち寄り、あくまでも「それぞれができることをする」を基本に当初は団体内で自分達の自腹を切って動物達の保護に当たる。活動が始まり犬猫を保護し収容するのなら敷地が必要であるし、エサ代や世話人、仲介のための広報係、事務、会計などが最低限必要となってくる。

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「砂地の床を衛生的なタイルに敷き変えたり、壊れた古い設備の改装への資金援助をお願いするために市に何度も手紙を書いた。でもそれで直せたのはほんの一部」。郊外の小さなティアハイムでは資金繰りが難しいため、非常時には親団体からの援助ももらえる。日常の動物の世話のほか、改装・修理作業のほとんども団体メンバーの手によって行われ、ボランティアはいつでも大歓迎だ。

各動物保護団体の持つ保護収容施設(ティアハイム)は維持費がかかり、保護収容される動物の数が増えるといつしか団体内で賄うのが難しくなるのは目に見えている。団体の資金繰りのほとんどは団体会員からの寄付金によって賄われている現状である。

活動を維持するための資金は団体会員だけでなく地域の企業にも協力を求める。協力を求められた企業は寄付として一定金額を援助することもあるが、建築会社なら施設の改築に必要な建材や、スーパーやペットショップならフードやペット用品の定期支給といった風に、現金に限らず物資の直接寄付という形も多い。

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スーパーの出入り口脇に設置されているフード寄付用のボックス。

また郊外のホームセンターやスーパーのレジの脇には必ず大きなフード寄付用のボックスが設けられており、一般の買い物客が買った小さなペット用品やおやつなど気軽に寄付できるようになっている。ティアハイムの動物のためにと買い物ついでにわざわざペットフードを買い、ボックスに入れる人も少なくないため、ボックスを設置している店の存在も大事な協力のひとつだ。

寄付をする企業側にとっても動物保護は社会貢献の一環であり、地元でのイメージアップに繋がる。例えばドイツ最初のティアハイムであるシュトゥットガルトの動物保護団体では地元に本社をおく企業ロバート・ボッシュ(世界的な自動車機器と電気工具メーカー)が1905年頃から今日までずっとスポンサーについているといったように、ティアハイムへの協力を通して企業や人々は地域への地元意識を強め、そしてさらなる協力を惜しまなくなる。スポンサーとなった企業の名前は施設内に見られるだけでなく、各動物保護団体のホームページなどでも公開されている。

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ペットフードメーカーからの寄付は車とフード。

団体は地域の祭りや催しにも参加して会場の一角にインフォメーションデスクを置くなど、地域での啓蒙も欠かさない。こういった地道な努力はいつしか実を結び、またネットワークを通した団体間の結びつきは苦境において大きな助けとなり、より多くの動物達を救うことができる。

そう、すべては動物を救うためにこれだけ大きな組織が動いているのだ。

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