ヨーロッパ最大規模の動物孤児院、ベルリン・ティアハイム

京子アルシャー

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一般公開日当日のティアハイム・ベルリンの正面玄関。遠くの方から楽しそうな音楽が聞こえてきた。

青空の広がる先週末、ベルリンのティアハイム(動物孤児院、シェルター)で催された年に一度の一般公開日に行ってきた。

近頃の日本でも時々報道されるヨーロッパ最大規模の動物保護収容施設「ティアハイム・ベルリン(Tierheim vom Tierschutzverein fuer Berlin und Brandenburg e.V.)」は1901年にドイツで最初の動物孤児院として創立され、実に100年を超える歴史を持つ。

現在は国内他のティアハイム同様に、ドイツ動物保護連合(Deutscher Tierschutzbund e.V.)のメンバー団体として他のティアハイムなどと協力して一大動物保護ネットワークの一部を支えている。

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[Photo from Tierschutzverein fuer Berlin]

ティアハイム・ベルリンの航空写真。写真左下の入り口から後方に伸びる長い建物が猫舎、真ん中の円形のものが犬舎。敷地手前の建物には常設動物診療所がある。

2005年の統計によるとこのティアハイムに収容された動物の合計は10,138匹、仲介率は約98%に達し、1,781頭の犬のほか、4,713匹の猫、2,591匹のウサギやラットなど小動物、621羽の鳥に140匹の爬虫類が新しい家族の元へ旅立った。

ここには「仲介できそうにないから殺される」という動物はいない。ここに来た動物が安楽死させられるのは死期が近い病気(ガン末期など)の場合か極度の行動障害を持っている場合(特に犬では過度の攻撃性により周辺環境に多大なる影響が及ぼされるかあるいは犬自身も重度の苦痛を伴うもの)に限られる。

どの動物も必ず仲介に出されるチャンスがあり、そして割れ鍋に綴じ蓋、それなりに合った里親が見つかるというものなのだそうだ。

犬の性質・性格に合った里親が見つかるまで犬は何ヶ月でもここで暮らすことができる。

この施設にかかる一日の経費は約1,100ユーロ(約15万円)、市からの援助は極わずかなもので経費のほとんどを1万5千人の会員からの寄付により賄っている。

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老若男女で賑わう猫舎前。

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アジリティー・クラブによるデモンストレーション。犬が暇をもてあますことで起る問題行動をアジリティーで解消し、犬とヒトとの絆を強めて捨て犬を減らそうという啓蒙活動の一環である。このクラブの犬の中にももちろんティアハイム出身犬が多くいる。

さて、この日のティアハイム敷地内では一般公開日ならではのステージやスタンドが設置され、バンド生演奏やアジリティーのデモンストレーション、パンフレットの配布、犬用品の販売、キッズコーナー、くじ引きなどの特別コーナーを楽しめるほか、訪問客は動物が収容されている舎屋もいつもどおりに自由に見学をすることができた。

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犬の檻はそれぞれガラスで二つに仕切られていて、犬はゲートをくぐることで自由に内外を出入りできる。

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屋外側からも犬を見ることができる。

動物の種類に関わらずすべての檻に自然光が取り入れられ、個々の檻は必ず室内と屋外の二つの部屋に分かれている。タイル張りの床もコンクリの壁も清潔で動物臭がほとんどない。

犬の檻が中心に向かって輪を描くように(ちょうど花のように)並び犬同士お互いが相手を見ることができるのは、社会的な動物として同類から完全隔離してはいけないという考えに基づく。

檻の前を歩くと興味を持って寄ってくる犬、ちらりと視線だけを投げかける犬、興奮して金網に飛びかかってくる犬、誰彼構わず吠え立てる犬、いろいろである。純血種もいるし、雑種もそして闘犬種も多い。

過去にこの檻の中で過ごしていた犬たちはこの日新しい家族とともにここへ里帰りしてきている。年に一度の一般公開日は過去と未来のハッピーエンドのための感謝祭なのだ。

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この日も47匹の動物の受け入れ家族が決まった。

このティアハイムに収容される犬の数はけっして少ないとはいえないけれど、収容期限切れによる殺処分がなく、安易な購入を促すペットショップもないこの地ではティアハイムが犬との出会いの場として広く一般に利用されている。

殺処分がない国だから、ティアハイムにやってきた犬も「捨てられた」のではなく「よりよい飼い主を探すために仲介に出された」と考えることもできる。

明るい設備とフレンドリーなスタッフのお陰で犬の暗くて悲しい過去は和らぎ、この先も多くの人が親しみを持って訪れてくれることだろう。

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