ジャックラッセルテリア飼育奮闘記 (1) - マイロとの出会い

史嶋桂

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家内から写メールで送られて来たジャックラッセルテリアの子犬の写真はこんな感じだった。

我が家では今ジャックラッセルテリアと言う犬を2匹飼っています。ジャックラッセルテリアと言う犬種はちょっと前までかなりマイナーな犬種でしたので、まずどんな犬が少し説明してみましょう。外観は51%以上白いコートにタンやブラックのブチがある体重5-6kg程度の小型犬です。耳は半立ち耳で、見た感じはスムースのテリアとビーグルの中間くらいの感じです。知らない人がみたら、ビーグルの雑種?と思ってしまう様な犬かも知れません。

実はこのジャックラッセルテリアはイギリスの伝統的な年中行事である「キツネ狩り」の際に、キツネを仕留める、つまり自力でキツネを咬み殺す事の出来る犬を目指して作出された生粋の獣猟犬なのです。

作出者は19世紀の中頃、イギリスのデボンシャーに住んでいたパーソン(牧師)のジョン・ラッセル師という方です。彼はキツネ狩りの熱狂的な愛好家でしたが、それまで使われてきたフォックステリアやフォックスハウンドではキツネ狩りには不十分だと考えました。そこで彼は、小柄な身体でキツネの巣穴に自在に潜り込んでキツネを追い出し、逃げようとするキツネに咬み付いて止め、必要なら馬について走り、一対一でもキツネを咬み殺せるくらいタフな犬をめざし、理想のキツネ狩り犬の育種を始めたのです。基礎犬になったのは、スムースのフォックステリアですが、これにウサギ狩りのビーグルや闘犬のブルテリアなど様々な犬が交配され育種が行われたと言います。

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マイロがおとなしく抱かれているのは食事を食べておなかがいっぱいになった時だけだった。

その結果生まれたのがジャックラッセルテリア(ジャックはジョンの愛称)です。つまりジャックラッセルテリアは、小さく可愛らしい外観とは裏腹に、本来獲物を狩る立場であるはずのキツネを狩って仕留めると言う、過激な狩猟のためにわざわざ育種された犬なのです。

その出自のとおり、ジャックラッセルテリアは不屈の敢闘精神を持ち、何者も恐れない強気の犬が多く見られます。また賢いキツネを見失わない様に、犬自身も問題解決能力に優れ、もちろん運動量も半端ではなく、咬み付く力も小型犬とは思えないほど強い犬です。たとえば我が家のジャックラッセルテリアたちは、咬み着き懸垂が数十回出来ます。闘犬以外で、これほど強い顎と牙の力を持った犬は希だと思います。

自分で飼っていてなんですが、ジャックラッセルテリアは本来キツネ狩り専用の犬ですから、家庭犬には向かないと思います。そんなジャックラッセルテリアが日本でも飼われる様になった理由の一つは、この犬の特異なキャラクターに目を付けた映画会社が映画の重要な脇役としてジャックラッセルテリアを採用したからかも知れません。有名なところでは、ジムキャリー主演の『マスク』と言う映画で副主人公並の活躍を見せたマイロと言う犬がいます。

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家族が構ってくれないと、人間の匂いがついたベルトやスリッパなどを唸りながら攻撃していた。所有権が移ってしまうと、取り上げるのも一苦労だった。

我が家でこのジャックラッセルテリアを最初に選んだのは、僕の家内と下の子供です。どうも彼らもカワイイ外観と仕草に惹かれて選んでしまった様です。2005年6月に、それまで飼っていた紀州犬のブランと言う犬が15歳で死んでから、我が家は犬がいない状態が続いていました。半年すぎて犬がいないとやっぱり寂しいなと思い始めていたクリスマスの少し前、家内からいきなり子犬の写メールが届きました。

携帯の画面には白いコートに、目と耳の周りにタンのブチがあるヒラメ顔の子犬が写っていました。

「犬飼ったから週末に引き取りに行くね」

「なんて言う犬?」

「ジャックラッセルテリア、かわいいよ~!」

そういうメールのやりとりがあったと思います。

僕にとっては急な話だったので、泥縄でジャックラッセルテリアについて調べてみました。僕自身はそれまで7匹の犬を飼ってきましたが、テリアと名のつく犬を飼った経験はありませんでした。犬好きだった祖父は、上海にいた時エアデールテリアと言う犬を警察犬として扱った経験があり、昔話で毎回、「すごく良くできた犬だった、犬のくせに警察犬と言う職業についていた」と褒めそやしていたのを思い出しました。しかし昨今近所で飼われているテリアと名のつく犬たちの多くは、かんしゃく持ちが多く、あまりよい子の犬はいない様に思えました。

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生後2ヶ月で早くも猟犬の片鱗を見せるマイロ。後にマイロは僕の前でクマネズミ3匹を瞬殺にしてのけた。

テリアと言うグループは、中世のイギリスで、農家の周りなどに放し飼いにして、害獣を狩る仕事をさせていた小型犬をルーツに持ちます。つまりネコがネズミを狩る様に、自分の判断で単独で小動物を仕留め、おそらくは食べて始末まで行っていた犬たちなのでしょう。このテリアの仲間は、犬自身の判断で獲物を仕留めるため、独立心が強く、負けん気が強く、小さくても大型犬に負けない様な、テリア気質と呼ばれる独特のキャラクターを持った犬たちが多く見られます。しかも、ジャックラッセルテリアは肉食獣であるキツネを狩るための犬なのです。

家内が譲渡契約を結んだ「ペットの量販店」で初めて見たジャックラッセルテリアの子犬は、まだ生後1ヶ月半と言う幼さでした。彼女は、我が家の双子たちによって、映画『マスク』のジャックラッセルテリアにちなみ「マイロ」という男の子みたいな名がつけられました。しかしマイロは牝犬です。名前からしてなんか間違っている気がします。家内は「マイちゃん」とか「マイチュ」とかわいらしく呼びますが、カワイかったのは、名前と外見だけでした。

マイロはお店から家に帰るクルマの中で早くも本性を現し、抱いて帰ろうとした双子の手を咬みまくったので車内は大騒ぎになりました。仕方ないので、途中で家内と運転をかわり、僕がマイロを押さえつけて家まで帰りました。双子の手はマイロの小さな犬歯で容赦なく咬まれ、血まみれ状態でした。こんな乱暴な子犬は、僕も生まれて初めて見ました。

マイロを家に連れてきてまず困ったのは、家人だろうが来客だろうが、誰彼構わず、咬む、飛びかかる、唸り吠える、と言う彼女のやっかいな性格でした。これはマイロがジャックラッセルテリアと言う特異なキャラクターに加え、1ヶ月ちょっとで親元からペットの流通経路に載せられ、母犬の愛も、姉妹の犬たちとの触れ合いもないまま「ペットの量販店」の金魚鉢みたいな透明ケースに閉じこめられて、ひとりで暮らして来たからだと思います。

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室内で首輪とリードに慣らす訓練中もマイロの暴虐は続く。リードにも容赦なく咬み着く上、咬む力が異様に強いので子犬用のリードでは1週間と持たない事が分かった。

子犬は幼い頃に母と兄弟姉妹から離されてしまうと、本来家族との触れあいで自然に行われるはずの社会化の機会を失い、甘咬みさえ出来ない危険な存在になってしまう事があります。これは子犬を流通経路が長く単独飼育しかしない「ペットの量販店」で売る上での弊害かも知れません。その結果、社会性を持つ機会を失った子犬は、その後も様々な問題行動を起こしやすいのです。

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